遊び「もどき」と「遊びを保障する」ということ── 擬育21

 「かにかま」は「かにかまぼこ」の略称。でも原材料に「かに」は含まれていない。これは「もどき食品」だ。もどき食品としてランク下に見られるのでなく、最近は、価値の見直されもされているらしい。
 「遊び」にも、本来の遊びのほか「Asobiもどき」がある。かにかま同様「Asobiもどき」をランク下に見ることなく必要な役割が与えられている。本来の遊びに入る前、その前座として必ず「Asobiもどき」の状態が現れる。状態の時間は2,3分のこともあれば、30分以上の場合もある。「Asobiもどき」の後に「本来の遊び」が現れる。遊びに入り込み熱中する前に、必ず「Asobiもどき」が必要なのだ。2,3分と30分以上の差・違いは、すぐに遊びに入り込めるか、入り込むのに時間がかかる場合もあるということだ。
 野球選手がバッターボックスに入るとき、いきなりボックスに立ちピッチャーの投球を待つ選手はいないのではないか。素振りしたり、バッターを上にあげて背をそらしたり、準備運動らしきことをする。心の整理をしているのかもしれない。
 オフィスのデスクに向かうときも、デスクの上や周囲を片づけたり、本や資料の置き場所を変えたり、引き出しをひいたり、それぞれに特に意味はなく準備のようなことをする。あるいは、同僚と挨拶したり言葉をかわしたり……。

 Asobiもどきの時間が30分かかったとき、さあこれから遊ぼうと心が動いたにもかかわらず帰宅や帰園または移動することになったとき、じつは結果《遊べなかった》ことになる。親子で近くの公園に出かけたとき、子どもの数は1人か多くて数人だ。一方、園の場合、20人ときにはもっと多い。多くなればそのなかに、Asobiもどきに時間が必要な子が混じる。よく遊びにいく公園ならば5分程度だと想定しているが、初めての場所なら20分ぐらいではないかと私は見積もっている。しかし、ふだんから遊ぶ時間が足りない子、あるいは性格的なことも含めて30分以上かかる子もいる。遊び込むことで「Asobiもどき」の時間は短縮されていく。肝腎なことは、もどきを抜け出て遊び込み始めたら、全員が遊び込める集団になる。これの価値を認めて欲しい。
 「遊びを保障する」ということは、Asobiもどきの状態を抜けてからの時間を保障するということだ。理想的には「遊びを保障する」時間は90分欲しい。少なくとも60分を確保したい。時間保障の計算は、目的地に到達してからだけではない。園を(家を)出発したその移動を計画に入れ、無意識ではなく意識的に移動も遊びと捉え、保育者(保護者)主導でなく子どもの主体性(研修レベルの理解)を尊重して遊びを誘導していく計画も想定してよい。 計画の全体からみると、「Asobiもどき」+「本来の遊び」の計算式で考えるとき、もどきに時間がかかる子の配慮も必要になる。園(集団)が遊びに重点をおいて計画を立てるとき、十分な時間的ゆとりが必要とわかるだろう。

2019.11.26記す