地球のまわる速さ ── 擬育34

 地球がまわっていることを5歳児と確かめあったことがある。
 地球って、動いてないよね。でも、昼と夜がくるのは、地球がまわっているからだよ。どこまでわかっているか、わからないが、子どもたちは私の話を聞いている。
 問題だよ。

  1. 地球が動いているって、アリより遅いか速いか?
  2. 三輪車より遅いか速いか?
  3. 歩くより速いか遅いか? ──と、私が歩いてみせる。
  4. 自動車より……
  5. 新幹線より……
  6. 飛行機より…… と。

 子どもらは考える。何を基準に考えるのだろう。
 それぞれの設問に正しいと思うものに手をあげさせる。けっこうバラバラにどの設問にも手があがる。どれが正解とは、私は言わない。

 保育士養成校の学生も、考える。彼らは、地球が自転していることを知っている。このおとなである学生は、何を基準に考えるのだろう。地球の直径は何キロメートルだっただろうか。数学や理科は苦手だ、とも思っているかもしれない。
 ──では、地球に今だけ自転をやめてもらって、自分の足で昼と夜を作ってみてはどうか。つまり、24時間で地球一周するには、どうすればよいか、と、ヒントを出す。

 幼児にもどる。じゃ、目をつむってごらん。「なんか動いている?」と尋ねれば、「動いてる!」と返ってくる。「目をつむったままだよ!まだ目をあけないでね。どっちに動いている。手で教えて!」と、さそえば、思い思いのほうに手が指し示される。
 この遊びは、ここで終わる。正答は言わない。
 理解させる方法がない。動いていることが確かめられたら十分だから。子どもらは、一瞬、答えを求めてくる表情をするが、次の話題や遊びにふって、これはおしまいにする。

2020.5.1記す