||||| 帆塾通信 91 : 2022.3.15 |||

Home > 帆 塾 > 通信バックナンバー

豊か 幸せ 満たされる

=-= Letter 1 ¶ 子どもが絵本を読むのは……
第一は、安心できること。
第二は、生きていることを楽しめること。
第三は……

 講談社、小学館、集英社、新潮社など名の知れた出版社ではなく、全国津々浦々、ちっぽけな零細出版社の本が、どこの本屋さんでも入手できるようになったのは、46年前の1976年、川上賢一さんが呼びかけて設立された「地方・小出版流通センター」が嚆矢です。まさに縁の下の力持ちです。「地小」と略しますが、発行している最新の通信1463号にとても素敵な言葉がありました。以下、その一部です。

***

 山本さんは、「季刊子どもと本」の創刊号で、「なぜ子どもが絵本を読むのか?子どもは何よりも、生きる力を求めて絵本を読むのです。それは、生きるために食事をするのと全く同じことです。一方は生きる心のため、もう一方は生きる体のためです。心が生きる、ということの第一は、安心できること。第二は生きていることを楽しめること。第三は困難に出会っても、それを乗り越えられると信じること。第四は人を愛することができることでしょう。…子どもの生きる努力を、誠実に支えるのがすぐれた絵本です。」と述べ、子ども文庫の会の活動に一生をささげられ、生涯を閉じられました。

=-= Letter 2 ¶ 子育ての時間軸は正順とは限らないのかも?

 自分でも整理できていないので、わかりにくいかもしれません。
 明石公園の大量伐採事件、今は平静を保っています。3月21日午後5時頃、毎日放送テレビの「よんチャンTV」で報道されるようです。
 大阪狭山市にある府立狭山池博物館に行ってきました。約1600年前の堤防が保存されていて、その仕組みから石垣との関連を学ぼうと思って……。
 奈良、平安、……江戸。その時間軸(歴史)を逆戻りすることはできません。歴史は正順にしか進めないと私は思っていました。古代とも言える時代の人たちは、土を高く積むだけでは水は漏れる、止められない。それで、木の枝や葉をサンドイッチのように挟んだ。木造建築の土壁にワラをまぜるように。治水のために行ったことが、土の堤防は、里の風景になる木が育ちやすい土壌になった。そうであれば、植樹することが治水になるのでは?と思ったかもしれない。
 「三びきのこぶた」ストーリーにあるように、近代土木はワラよりも木、木よりもレンガ造りを選ぶようになった。しかし、そのそれぞれの時代に、それぞれの叡智があった。コンクリートではなく石積みを基礎としていた時代は、そこに木を植えて堤防を守ったのかもしれない。
 治水という大工事はやり直しがきかない。「子育て」もやり直しがきかない。加齢は時間軸としては正順だけれど、通過する年齢で、そのときに相応しい子育てのありかたが問われる。もしかして、子育ての時間軸は正順とは限らないのかも? そんな「(私には)大発見」をしたように思うこのごろです。

=-= Letter 3 ¶ 帆塾例会

  • 3月27日(日)雨天予備日:4月10日(日)
    • ※まん延防止等重点措置が解除されることを前提に行います。
    • ※雨天予備日は翌々週の日曜となっています。
  • 行く先:あわじ花さじき
    • ※子どもの身が隠れるほどに、なのはなが満開になっていると思います。
    • ※明石から船で渡ります。
  • ●行程・ゆき
    • JR芦屋駅改札口前 9:20集合
    • 芦屋9:29→明石9:53 新快速 子ども280円 徒歩20分 明石港10:20着
    • 明石港10:30→岩屋港10:45 子ども270円
  • ●行程・かえり
    • 東浦IC 15:19→三宮15:57 子ども440円
      • ※バスは交通系ICカードが使えます
    • 阪神三宮16:20→阪神芦屋16:31 子ども120円
  • 岩屋港9:45~花さじき 13時すぎ到着
  • 現地滞在 13時頃~14:30頃
  • 花さじき裏の出口14:30頃発~東浦IC 15:10頃着
  • ※参加費不要
  • ※持ち物:弁当
  • ※服装:風が強く吹くときは寒いことがあります。
    • 歩くので暑くもなります。
    • 脱ぎ着しやすい服装がよいと思います。
  • ※参加ご希望は前日までにお申込みください。

=-= Letter 4 ¶ 連載==「豊かさ」を問う 連続思考(6)

一本の棒が、子どもを目覚めさせる。

 2歳の子どもは石をよく拾う、なぜだろう? 4歳は棒切れをほしがる、なぜだろう? 私は子どもの頃、相撲ごっこをよくした。土俵にみせるためマルを描いた。描くには棒切れがいる。捨てられたホウキの柄などは探せばすぐに見つけられた。
 昔話をもう少し。おとなは空き地でたき火をよくしていた。子どもも火遊びにつきあっていた。おとなはゴミを燃やすためだが、火に放り込むものはいくらでもあった。思えば、まちはゴミがあちらこちらに散らばっていたということだろう。
 汚いよりも綺麗ほうがよい。だから、ゴミを見つければかたづける。あたりまえのようだが、私が子どもの頃、小学校での目標は「ゴミを拾いましょう」だった。そして実際、ゴミは”ふつうに”落ちていた。
 子どもの遊び場は○○をしてはいけないと「禁止」の張り紙が目立つ一方で、「△△してもいい?」と子どもが許可を求めてくる。モノ(衣食)は足りてもココロが満たされない。

柴田敏隆:一本の棒が彼らの夢をふくらませた

 長文だけど、ぜひ全文に目を通して欲しい。結語の手前に──子供は死ぬもの、怪我するものという基本的認識に立って──から始まるくだりがある。
 柴田さんだからこそ書けた凄い文章だ。柴田さんと金田平さん、二人の特訓を、神奈川県丹沢の山中で、私は20代に受けた。お二人は鬼籍に入られた。自然観、子ども観、フィールド観はお二人からその基礎を学んだ。
 時流に染まることなく「豊かさとは何か」を考えたい。

  • 次の配信は、4月1日を予定しています。
  • 発行人: 山田利行(帆塾主宰)
  • e-mail: yamada-toshiyuki@19san.com
© 2024 ||||| YAMADA,Toshiyuki |||, All rights reserved.