臨床保育(子育て)学の提案

 臨床とはその場に臨むこと。《心の理論》のクライアントつまり対象者の核は0歳から7歳だ。この年齢幅で接する(臨床の場にいる)おとなは、保育園・幼稚園などの先生、小学校低学年を担任している先生たちだ。「心とは何か」という極めて重要な課題について、先生たち専門家は、学生時代に学んだかもしれないけれど、実践(臨床)で応用できる人はどれほどいるだろうか。
 《心の理論》に限らず専門分野の本を読むたび、現場でこうした学術成果がどれだけ活かされるのか、しばしば疑問に思う。臨床(現場)に則した保育(子育て)の方法を支える学問の立て方が必要と思う。臨床に則していないから、小児科医・看護師・助産師・保健師・保育士・幼稚園教諭・小学校教員らが情報を共有するしくみがない。さらには、精神科医・臨床心理士・建築士・(ほかにもっとあるだろう)らとも繋がらない。人類史・世界史・文化史に照らしても未曾有なコロナ禍の状況にあって、子育ての学術的基盤をつくることが、期待される「新しい生活基準」になるように思えてならない。
 臨床保育(子育て)学を建設できるのは、大学ではなく臨床現場であって、それを大学等の研究者が着目することだと私は思う。臨床保育(子育て)学の体系で「保育研修計画学」が位置づけられると嬉しい。

 発達や個人の能力には、当然ながら個人差がある。その個人差は、7歳を過ぎてからのほうがより大きくあり、乳幼児期の個人差は7歳以降と比べて小さいとみている。乳児期は、さらに小さいとみている。発達にかかわる臨床(現場)では、その専門的な知識が極めて有効ということになる。そして、おそらく「遊び」の必要を再発見するだろう。

 医療現場はそれぞれの専門に従い分業になっている。医師・看護師・リハビリを担当する資格を有した専門職・薬剤師ほか事務系を含めて様々なスタッフで支えられている。
 小学校はどうか。ほぼすべての教科を教える担任(先生)は一人で複数担任は例外だ。音楽など専科の先生。保健室を担当する養護教諭。障碍児を受け持つ先生。図書室の先生(司書教諭)は有効に機能していないようだ。複数校を担当する臨床心理士。専任の事務担当はいるだろうが、学年主任は担任と掛け持ちで、先生は事務が多いと問題になっている。
 さて、保育園・幼稚園・認定こども園ではどうだろうか。保育園で複数担任は珍しくないが、幼稚園は担任一人で担当し子どもの数も多い。看護師は一部で配属されているが、専門分野に特化した保育士の養成や配属は緒に就いたところだ。

2020.11.15記す

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