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写真の撮影地:兵庫県芦屋市
(参考)いのちが生まれた海、潮だまり

フリーテーマ・コラム tide pool 潮だまり

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紙版 pdf 1 : 2022.11~2023.4
紙版 pdf 2 : 2023.4~ 続刊

「遊び」生得説

 これは、仮の話である。

 生まれながらにしてあかちゃんは母とそうでない人を聞き分ける。胎児のときに母の声を聴いているからだ。「すでに学習をしている」と考えてしまうが、そう簡単なことではないようだ。//ギリシャのアリストテレス以来、人は「白紙の状態(タブラ・ラサ〔tabula rasa〕)」で生まれてくると考えられてきた。//(酒井邦嘉『チョムスキーと言語脳科学』集英社 p47)
 「幼児は二択で、三択は5歳以降」と、かつてわたしは記した。(「二択と三択、階層化する選択肢」)
 もしかしたら、その「二択」は生得的思考なのかもしれない。チョムスキー言語理論によると、二択で思考〈「木構造」(枝分かれ構造)として説明されている〉するように脳に刻まれていて、4歳までの「学習」によって三択思考が可能になるのかもしれない。まだ仮説だが、脳科学者の酒井邦嘉は前掲書で(木構造を)立証したとしている。

プラトン Wikipediaより

 レヴィ=ストロース『野生の思考』に、一万年前(新石器時代)の人々は「見る」ことで文明を築いた(「プラトンの問題」に相当※)、とある。なんのことかわからずとも(理解に及ばなくても)なにはともあれ見た(真似た)。これをブリコラージュ(フランス語)という。
 5歳未満の乳幼児は見て、遊びの仲間に入れてもらった。三択思考ができるようになり、遊ぶことが楽しくそして遊びに意義を見つけ、(少なくとも小学2年生までをわたしは「幼児」としているが、)小学3,4年生の移行期を経て「おとな」(小学5,6年生)に成長する。

 ここまでたどりつくと、もしかすると「遊びは生得的」ではないか、とわたしは考えるようになった。そうであれば、母の声認識・二択・見る・遊ぶ、この道筋を通って「おとな」になる。遊びに勝るものはない。

プラトンの問題……教育を受けた経験のない人が高い知性を持つ。──この謎に驚いたプラトン(紀元前5世紀の哲人)に由来している。この謎に、チョムスキーは言語学で答えようとしている

2024.7.15記す

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