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科学番組に思う

 山中伸弥とタモリの番組で、AIの”すごさ”を伝える科学番組をNHKで観た。視聴者にはどのように映るのだろう。番組の初めでタモリは、AIにかかわりたくないと否定的な受けとめかたをしていた。番組を閉めるときには、驚きを露わにしていた。脳のはたらきについてその解明は「まだまだ進んでいない」としながらも、生命の謎よりよりも、脳の「意識」に対する解明は進むとしているし、それは、5年先とか10年先とか近未来の見通しだ。
 学術書とは言えないにしても脳神経の本をかなり読んできた。わずか1時間程度の番組でなにがわかるというのだ。「わかる」とか「驚き」というリテラシーにも疑問が先立つ。自立させたAIの軍事目的利用の危険については触れられていない。軍事で研究費用が投じられ、民生はそのおこぼれというのが、原子力で既定の事実。
 チャットGPTなどAIの知的利用をいう場合、その利用価値を持ち上げれば持ち上げるほどに、学校(公教育)の存在が問われる。生命より意識の解明が進むということは、学校不用に直結する。そして、実用的レベルでは、見方を変えれば、国の経済投資は子どもに向けられることなく産業(軍事や医療)優先ということになるのだろう。国力のバランスは人類存続の危機でもある。華やかな面を脚色する科学番組に危うさを感じてしまう。

2025.7.15記す

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