||||| 網野善彦『日本の歴史をよみなおす』|||

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 正続の分冊で取り上げていますが、のちに合本となりました。

『〔正〕日本の歴史をよみなおす』

  • ほぼ鎌倉時代の後期から室町時代にかけて、侍クラスの下層まで平仮名まじりの文書を書けるようになっていることは確実ですが、室町時代の村の大名、主だった百姓は、だいたい文字が書けたと考えてよいと思います。(30頁、「第1章 文字について」より)
  • 古代の賤民は、われわれが近代的な感覚から賤しめられているとだけ考えては間違いのようです。(62頁、「第2章 貨幣と商業・金融」より)
  • 身体障害者や人に嫌われる病に罹(かか)った人に対する差別の実態を、原始社会にさかのぼってみると、縄文時代においては、そうした差別はなかったようです。(81頁、「第3章 畏怖と賤視」より)
  • 従来この時代は家父長制が確立しており、女性は無権利できびしく抑圧されていたと考えられていたのですが、実態はかなりちがっていたといわなくてはなりません。(162頁、「第4章 女性をめぐって」より)
  • 将来、いつかは天皇が日本の社会にとって不要になる時期が来ると思いますが、その時には、われわれは、日本という国号そのものをそのままつづけて用いるかどうかを、かならず考え直すことになると思います。(202頁、「第5章 天皇と「日本」の国号」より)

『続・日本の歴史をよみなおす』

  • 日本列島の社会が、農民が人口の圧倒的多数をしめる農業社会であったという常識も、おのずと完全に覆るといわざるをえないわけです。(31頁、「第1章 日本の社会は農業社会か」より)
  • 稲作が日本列島にわたってきてからの列島社会は、基本的に農業、稲作を中心とするようになり、海によって周囲から隔てられた島々の中で、自給自足の生活を営む孤立した社会であった、と考えられてきたと思います。しかしこの常識的な見方はじつはまったく偏っており、こうした日本列島の社会像は誤った虚像であるといわなくてはなりません。(50頁、「第2章 海からみた日本列島」より)
  • コメが食べられず、アワやヒエしか食べられないから貧しいというのも完全な思い込みで、そうした地域がむしろ大変豊かな場合はいくらでもあるのです。(118頁、「第3章 荘園・公領の世界」より)
  • こうして、交通路、流通路を管理する人びとの組織の新しい活動がこの時期に目立ってくるのですが、このような人びとの動きが、権力の側から悪党・海賊といわれたのだと思います。(137頁、「第4章 悪党・海賊と商人・金融業者」より)
  • 東北に餓死者が大量に出たとされている飢饉も、単純に東北が貧しいからだとはいえないのではないでしょうか。農村地域に壊滅的な飢饉がおこったと考えてよいかどうか、この点は徹底的に再検討の必要があると思うのです。つまり、東北は、意外に都市的な性格を持つ地域だったのかもしれません。(181頁、「第5章 日本の社会を考えなおす」より)

1999.8.26記す

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