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〈空〉は、どこまでつづく ///

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おそらに、はてって あるのかな。

 科学絵本『おそらに はては あるの?』は、この問いかけ(青色)から始まる。

  • 佐治晴夫ほか / 著
  • おそらに はては あるの?
    • 玉川大学出版部 2003年

それとも、はては なくて
どこまでも どこまでも つづいているのかしら。

 空を見上げている子ども(幼児)は、見上げる角度をさらに上げるだろうか。視線をより遠くに向けるだろうか。正解は いらない。(絵本を読み進めると、科学者の説明がつづき、おとなは、新たな疑問が浮かぶだろう)

幼児は〈空〉を、見ない?

 「見ない」わけではない。意識しないというか〈空〉に関心を示すふうでない。それは就学前の5歳児のことで、小学生(1,2年生)は定かでない。

 「ひこうきぐも!」と声があがる。それは、まさに飛行機雲が出来つつあるとき。白いラインが引かれている空に関心をもつのは、5歳または小学生だ。カラスやトビが宙を舞うとき、その飛翔体に視線を送ることはあっても、背景になっている青空や雲に関心を示すことはない。──(と、決めつけられるだろうか、とは思うが……) 私は、幼児に〈空〉は視野に留まらないように思う。
 5月中頃のある日、きのうまで雨降り。それがおさまって、抜けるような青空。野外活動を計画したおとな(保育士)は喜んだ。「気持ちいいねえ」の思い。しかし……。子ども(5歳児)たちは出かけるのは当然のごとく、心うきうきは確かだが、青空を喜んでいるふうはない。小雨でも降っていたら「ぬれるぅ……」と思うかもしれない。それでも、曇天の空を見上げることはないだろう。曇り空でも、晴天でも、子どもは空を見上げない。
 虹が出れば、その「虹」を見る。それでも、その背景となっている空の色には関心がないだろう。

 田園で、ヘビイチゴが鈴なりに熟っていた。カエルが跳んだ。バッタもまだ小さいけれど飛んだ。刈られた草がうずたかく積まれ、その山になっている枯れ草をめくると湿気ていてミミズがいっぱい、いた。暖かい日射しが子どもらをますます活動的にする。子どもの目線は、イチゴ、カエル、バッタ、ミミズ。トカゲはどこにいるん?と訊ねてきた子は、照らされた法面(のりめん)に熱い視線を送っている。
 これは勝手な想像だが、遊びに夢中な子は、まぶしい青い空を、ときに見ているのではないかと思う。晴天を喜んでいるのではないか。それとは違って、草むらやときどき目にする毛虫が嫌な子がいる。「ここはいやや! もうかえりたい」という子もいる。その子らには、草の緑も青い空も目に入らない。心が閉じるからだ。映るのは、帰れば心やすらぐ健やかな部屋の空気だ。

 〈空〉を見せる方法は、ある。大地に寝転べばよい。仰向けになれば、視野のまん中は〈空〉になる。耳をすませば鳥の声やら何やら、いろいろと聞こえてくる。〈空〉を、トビやカラスなど大きな鳥が飛ぶ。浮かんでいる雲が動いている。そして、おひさまがまぶしい。

飛行機と雲

 飛行機をみつけると、さて、どのように見えるのだろうか。「空」は背景となり、無限とも思える空間は「切り取られる」のだろうか。飛行機と雲の画像を並べてみよう。

 飛行機雲が出ると、雨が降るのだろうか? 必ずしもそうではないようだ。昨日まで見られなかったのに、なぜ今日は見られるのだろうか。排気される熱に対して雲が発生するようになったということは、大気環境に変化があったのだろう。その原理は、私にはわからないけれど、経験的には翌々日くらいには雲が増えたり雨模様になる。一方、飛行機雲が出るものの消えていく雲もある。この場合は、晴天が続く……のかな?

〈空〉をたべる……

  • はたよしこ / 作・絵
  • 絵本『そらの たべかた おしえましょう
    • 鈴木出版 1992年

すいか、とうもろこし、とまと、えだまめ、
──の食べかたに続いて
みず、かぜ、うた、にじ、──の食べかたが続き
最後に、「そら」の食べかたを。

〈空〉は「なぜ青い」という問いについて

 子どもの質問にこたえるという形式の本や場面について、「空は、なぜ青いか」は最も代表とされる事例になる。《「なぜ青い?」と疑問をもつかは、なぜか?》
 その1。雲一つない空は一面が青い。その迫力あるいは爽快感が問いを発生させるのだろうか? その2。色の種類を知った子どもは、あるいは、夕焼けによるグラデーションを体験すると、夕焼けの現象に関心をもつとともに、結果、空の青さが気になるのか? その3。星や月が輝く暗い空に対して、まぶしい空がなぜ青いと疑問に思ってしまうのか? 夜空一面に広がる星の数や宇宙の大きさを思うとき、ひるがえって昼間の空はどこまで続いているのかと思い、その空が青いことをふしぎに思う。

 問いに辿りつく理由は、ほかにもあるだろう。いずれにしても、上の3つ事例は小学生(学年は不明だが)になって初めていだく問いであろう。5歳児が図鑑などで他者から刺激される可能性はあるだろうが、自身が昼の空を見上げて「なぜ青いの?」と思うことは極めて少ないだろうと、私は思う。空は、キャンパスに描かれた背景にすぎない。
 絵画製作で色を塗るとき、空の部分は空白のままにしておくかもしれない。そのとき、空白のままではよくないと思った指導者(おとな)が指摘したとき、さて、どんな色で埋めるのだろうか。

2021.5.16記す

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