|||||『風姿花伝』(世阿弥)より「年来稽古条々」|||

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 『風姿花伝』世阿弥(1363年生まれ)が記した能楽論書。全7篇のうち最初は「年来稽古条々」。役者の年齢に応じた修業のありかたを説いている。その年齢は、7段階にあって、最初が「7歳」。
 ──この芸において、大方(おおかた)、七歳をもて初めとす。──数えの七歳は、満6歳(誕生日前ならば5歳)。能表現の形式を押しつけず、真似するにまかせておけばよいとしている。
 ──「よき」、「あしき」とは教うべからず。──ほめたり叱ることのないように、ということだろう。──余りにいたく諫むれば、童(わらんべ)は気を失いて(やる気をなくし)、能、ものぐさくなり立ちぬれば、やがて能は止(と)まるなり。──
 興味、関心があってこそが大事で、それを損なってはならないと説く。これに続けて、芸を真似ることはあるだろうが、教えてはならないと諭している。

 そして、次の段階の年齢は②「12、3」。次は③「17、8」。さらに④「24,5」。ここからは10歳刻みで⑤「34,5」⑥「44,5」。最後が⑦「50有余」。
 世阿弥の父、観阿弥は52歳で死去したとここで記している。「麒麟(きりん)も老いては駑馬(どば)に劣る」と喩えながら──老木になるまで、花は散らで残りしなり。──としている。世阿弥は長寿で80歳で没している。

2021.4.30記す

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