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地域からの世界史(全21巻)……図書館または古本で
1992~93年にかけて刊行された。巻数は多くなってしまうが、歴史の何がポイントなのか、そのイメージを得るには適していると思う。1巻あたりは200ページ程度。
- 朝鮮
- 中国 上
- 中国 下
- 東南アジア
- 南アジア
- 内陸アジア
- 西アジア 上
- 西アジア 下
- アフリカ
- 地中海
- ロシア・ソ連
- 東ヨーロッパ
- 西ヨーロッパ 上
- 西ヨーロッパ 下
- 北アメリカ
- ラテンアメリカ
- オセアニア
- 日本
- 世界史への扉
- 世界史を読む事典……742pあり、特別に厚い。小項目。索引48p
- 世界史の構想
第19巻 世界史への扉
- 樺山紘一/著 1992年 271p B6判
- 「歴史」とは、「歴史学」とは何かを説く。歴史を深く読み込むためのテキスト。
- 54の話題を 4,5ページで説く。それぞれに参考文献があげられているので、関心に添って読書が広げられる。
- 智恵のリングは苦かった
- 旧石器人はヒマ人だったらしい p18
- 人類文明の源流はどこに
- 死者埋葬習慣をもつネアンデルタール p21
- 古代の魅惑と偉大な教師たち
- 紀元前から紀元の時代へ
- 人間が生きるかぎり、歴史と文明はともなっているのだから、文字をもたない社会を「有史前」とか「先史」というのは失礼にあたる p33
- 古代からのメッセージ
- 歴史における連続と断続
- だが、帝国という国家機構はともかくとして、人びとの経済生活や社会内部の組織に、はたしてそんな大激変がおこりうるだろうか p40
- 中世というあいまいな言葉
- 南北と東西と
- 海をわたり異世界へ
- 海の世界史像をもとめて
- 希望を共有する世界
- 古今不変とでもいうべき問題がある。はたして、はるかなる古代人と、いまの生をいとなむ近代人とは、いずれが賢く、秀でているのかと。 p62
- いくつものルネサンス
- 噴火と革命のあいだに
- グローバル化時代の歴史叙述
- 「南北戦争」(1861-65)ですら、日本語特有の名称である。「市民戦争(内戦)Civil War」というのが、当のアメリカ名なのだ p78
- 終戦は8月14日、もしくは9月2日 p78
- 世界史の同時性をもとめて
- フン族とは、ほんとうに匈奴のことなのか。見解はわかれている p80
- 咲き競う首都の世紀
- 歴史上の首都でその名にふさわしいのは ── ローマ帝国のローマ、長安、バグダード、ビザンティン帝国のコンスタンティノポリス、イベリア半島のコルドバ、そして日本の平安京(p84-87より要約)
- モンゴルの登場と世界史の同時代化
- ヨーロッパの登場とその波紋
- 国際経済の大規模化と主役の交代
- 鎖国の大流行
- 最後の幸福な夢の時代
- 開国の機会を逃した日本
- 侵略の戦火と革命の嵐
- 幕府の当局者も長崎の情報通も、これらの国際情勢のほとんどを理解していない。<略>太平洋は(アメリカの)巨大な前庭になりつつある。ペリー艦隊はその探査隊でもあった。そのことを江戸幕府は知らない p113
- ……ほか
第21巻 世界史の構想
- 板垣雄三/編 1993年 243p B6判
- 以下、項目と各執筆者。
- 港からの世界史 港町は地域の窓である:樺山紘一
- 東洋史学と世界史学:礪波護
- 歴史教育と世界史:大江一道
- 20世紀とは何だったのか:西川正雄
- 歴史の記憶と「世界」のビジョン:板垣雄三
- 大阪・今里からの世界史:杉原達
- 女性と植民地 植民地開発・海外膨張とからゆきさん:鈴木裕子
- 地域と少数民族 清代華南少数民族史:稲田清一
- 世界史と遊牧民:杉山正明
- クレオール文化の多様性 カリブ海地域のインド系の視点から:柴田佳子
- 白豪主義の「予言」と現実 19世紀オーストラリアの人種関係:藤川隆男
第18巻 日本
- 大江一道/著 1993年 286p B6判
- 一気に読むと、時間のうねりとでもいうものを感じる。史実の細かなことは他の本に譲らざるを得ない。1冊で済ませられるとはいえ、教科書とは異なる。教科書よりも深みがあり刺激がある。政策としての鎖国はあったが、幕府は必ずしも鎖国せず、むしろ世界の情勢を盛んにうかがっていた、とか……。
2000.8.24記す