Asobiもどき+本来の遊び

 「かにかま」は「かにかまぼこ」の略称だが、原材料に「かに」を含まない「もどき食品」だ。もどき食品としてランク下に見るのでなく、昨今では価値が見直されているらしい。
 「遊び」にも「Asobiもどき」がある。かにかま同様「Asobiもどき」をランク下に見ることなく必要な役割が与えられている。本来の遊びに入る前、その前座として必ず「Asobiもどき」の状態が現れる。状態の時間は数分で短いこともあれば、30分以上と長くかかる場合もある。「Asobiもどき」の後に「本来の遊び」が現れる。「本来の遊び」に入り込み熱中する前に、「Asobiもどき」が必要なのだ。短い/長いの差は、遊びにすぐに入り込めるか、入り込むのに時間がかかる場合があるということだ。
 野球選手がバッターボックスに入るとき、いきなりピッチャーの投球を待つ選手はいないのではないか。素振りしたり、バッターを上にあげて背をそらしたり、準備運動らしきことをする。心の整理をしているのかもしれない。
 オフィスのデスクに向かうとき、デスクの上や周囲を片づけたり、本や資料の置き場所を変えたり、引き出しをひいたり、それぞれに特に意味はなく準備のようなことをする。あるいは、同僚と挨拶したり言葉をかわしたり……。

 Asobiもどきの時間に30分要したとき、さあこれから遊ぼうと心が動いたにもかかわらず帰宅や帰園または移動することになったとき、じつは結果《遊べなかった》ことになる。親子で近くの公園に出かけたとき、子どもの数は1人か多くて数人だ。一方、園の場合、20人ときにはもっと多い。多くなればそのなかに、Asobiもどきに時間が必要な子が混じる。よく遊びにいく公園なら5分程度だと想定みて、初めての場所なら20分ぐらいは必要かもしれない。
 一方、ふだんから遊ぶ時間が足りない子、あるいは性格的なことも含めて30分以上かかる子もいる。遊び込むことで「Asobiもどき」の時間は短縮されていく。肝腎なことは、もどきを抜け出て遊び込み始めたら、やがてみんなが遊び込める集団になる。
 「遊びを保障する」ということは、Asobiもどきの状態を抜けてからの時間を保障するということだ。「Asobiもどき」にかかる時間を考慮して、遊びを計画するとき「もどき」の時間込みで90分欲しい。少なくとも60分を確保したい。時間の計算は、目的地に到達してからではない。園を(家を)出発し、移動も遊びと捉え、目的地をめざすだけの目的/行程はなるべく避けたい。
 「Asobiもどき」+「本来の遊び」の計算式で考えるとき、もどきに時間がかかる子の配慮も必要になる。みんなが遊び込めるようになるには、時間的ゆとりが必要だ。

2022.8.8加筆
2019.11.26記す

© 2022 YAMADA,Toshiyuki, All rights reserved.