坂道を転がって……

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 黄色のフレーム内でおもちゃの車が坂道を下りてゆく。(開一夫『赤ちゃんの不思議』(岩波新書)p75に記載のある図を引用)

 坂道を下りきったところで、車が消えた! 矢印のところはスクリーンになっていて、上に引き上げることができる。車はフレームから外れて、スクリーンのうしろに「いる」のだろうか?

 フレームがもしテレビ画面であって、車の移動が映像であったとき、フレームから外れて車が移動することはない。──//私たち大人は、テレビ映像現実世界は空間的に連続してないことを理解しています。//──(前著p73) さて、あかちゃんの場合は……。AかBか?

 実験では、黄色フレームは、映像と”現実“の2種で行っている。実験に協力したのは生後10か月のあかちゃん。「馴化-脱馴化法」という研究方法で試行され、その注視時間から、映像の場合はBを、現実の場合はAを、という結果を得たという。//赤ちゃんは生後10ヵ月までに、映像と現実は空間的に不連続であることを理解するようになると考えられます。//p76 (1)


 小見出し《「見ること」と「見られること」》(p76)では、──//実験の結果、生後2ヵ月の乳児であっても、ライブの母親をより長く注視し、笑みも多かったといいます。つまり、ライブと録画を「区別」したわけです。この実験が発表された後にも、他の研究者たちによって多数の追試が行われています。いくつかの問題点が指摘されていますが、実験結果は概ね追認されています。//──とある。(2)

 (1)(2)ともその結果は驚かされる。そして、考えさせられる。//赤ちゃんには前言語的コミュニケーション能力が備わっているのかもしれません。//p79


 ここまで記して、乳幼児の発達から脇道にそれる。映像から外れて、果たして車が見えなくなるのだろうか。「バーチャル(仮想)」空間や体験が”実用化”されている現在そして今後の未来において、さまざまでかつ深刻な課題が潜んでいるのではないか。見えなくなるはずの車が見えるかもしれないと思考に影響を与えることは「生きる力」に混乱をもたらす/もたらしているのでは?と思ったりする。(エンタテインメントのイルージョンについても、うけとりかたに留意が必要と思う)

2022.9.28記す

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