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中田幸平『江戸の子供遊び事典』八坂書房 2009年
p55
//”綾とり”とは江戸(東京)の名で、京阪(京都、大阪)では「糸とり」などといい、江戸時代の貞享、元禄(1684~1703)の頃から、主に女子の遊びとして盛んに遊ばれた。//
※わたしは「糸とり」と呼び親しんだ。
p55
//この状態にすると、遊び相手の子がこの手首と手首の間にできたX状の下に、左右から挟むように親指と人差指を入れ、それをX状の下にある二本の横糸の中に、下から上にすくいあげるようにして、手首にかかった糸を全部すくい取る。//
p55
//説明すると、まず左右の小指と親指に糸をかけて横に張り、左右の指の間に張られた糸を左の中指で左の手の平に横に張る糸を下からすくい取る。//
p56
//まさに無から有を生ずる創作遊びであり、魔術のようなもので、遊びのテクニックは文字を綴って説明できないものである。//

糸をとる〈ゆび〉が、
〈人さし指〉から〈中指〉に 変わった!

 定年後のボランティアで、小学校の〈昔遊び〉にかかわり小道具を大切にしている人に出会った。道具箱に〈あやとり〉をみつけたので、遊んでもらった。そのとき、かつては〈人さし指〉でとっていたものを〈中指〉でとった。そこを指摘すると「今は〈中指〉ですよ!」と返答された。
 遊びの〈かたち〉をまねて〈あやとり遊び〉ができればよいのだろうか。私も実践の際〈人さし指〉で誘導しても、気づけば〈中指〉にもどってしまう。だから、〈むずかしい〉というよりも、無理に近い。指の機能が、昔と今で変わってきているのかもしれない。評論で終わらせないで、実践が大事だが、習慣になってしまったものを変えることはむずかしい。

川をつくる指、親指と〈人さし指〉

1950年 長野県(現在の阿智村)

── 関西では「糸取り」というこのあそびは、平安時代からあって元禄時代に はやり、糸取り用の糸ひもまで作られた。── 首藤功/編 2016年『道具からみる昔のくらしと子どもたち』農文協 p24

中田幸平『江戸の子供遊び事典』八坂書房 2009年
p56
//古くから行はれている女児の遊であって(…中略…)平安時代から行なわれたのではないかと考へられる。//
※小高吉三郎『日本の遊戯』1943年。推測であって確たるものではない。
p57
//近年、綾とり遊びが急激に注目されはじめ、綾とりの遊び方の案内書が数多く出版された。この風潮は伝承遊戯の再認識という気運に誘われてのことだが、多くの人々は、綾とりが日本古来からの伝承遊戯と思い込んでいるため、諸外国にも綾とり遊びが存在するという報告と解説がなされると、綾とりの意外な国際性に驚くこととなった。だがこのことは、遊戯に関心ある識者には周知の事実で、すでに柳田國男の『国語の将来』の中で、
 ……独楽でも紙鳶(たこ)でも又綾取でも、今なお是を大人の真面目な行事として居る国もあるのだから、遠く捜せば昔の因縁は判って来るかも知れない……
と示唆をしていることである。//
※これに続いて、外国事例が綴られている。

アメリカ映画 1988年「愛は霧のかなたに」のシーン

1970年代と思われる。アフリカ、ルワンダ国内。あやとりで山をつくっている。〈人さし指〉をつかっている。

人さし指をつかっていて〈中指〉はつかっていない、ことが見てとれる。『写真集 子どもたちの昭和史』大月書店 1984年 p17(撮影年、不明)

 元、保育園長に教えてもらって、あやとり。子どもは真似て遊ぶのがじょうずで、糸は〈人さし指〉にかかっている。

ところで……、下の図では……。
──多田千尋 2004年『おばあちゃんは遊びの達人』ひかりのくに

〈人さし指〉でなく、〈中指〉で糸を取っている。「中ゆびをうまくつかってね」と、これをポイントとしている。

 加古里子(かこ・さとし)の本書では、写真は〈人さし指〉で糸を取っているが、遊び方の解説スケッチは〈人さし指〉と〈中指〉である。

 写真とあやとりスケッチは見開きなので見比べられる。あやとりスケッチは「ふたりあやとり」の一コマ。人物Aの〈中指〉に糸がかかっている。人物Bは親指と〈人さし指〉で糸をつまんでいる。このまま進むと、Bの手に、親指と〈人さし指〉で糸が開かれる。つまり、遊ぶ手の動作に「揺れ(ゆれ)」がある。

 かつては〈人さし指〉で取っていたものが、今や子どもの遊んでいる場面では〈中指〉が主流になっている。なぜか……?

あやとりひもを作る

連続テレビ小説で「あやとり」の場面が!

  • NKH連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」
    • 2021.12.8放送

2021.12.12更新
2019.9.9記す

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