||||| 哲人? ルドルフ・シュタイナー |||

エリザヴェト・M・グリネリウス『七歳までの人間教育』
副題:シュタイナー幼稚園と幼児教育
+ 訳者:高橋巌・高橋弘子
+ 創林社 1981年

 シュタイナーは、わかりにくい。わかりたいと思っても、受け入れにくい。
 人間は〈身体・心魂・精神〉の3つの要素からなる──と、シュタイナーはいう。心魂と精神、どう違うのだろう。心身二元論ということだろうか。精神(こころ)は脳の成果物であって、脳は身体の一部である。わたしは、心身二元論を受け入れることはできない。
 シュタイナーは唯物論を否定していて、その立場から心身は別であると考える。脳はからだの一部であり、こころは脳の作用と承知している現代人であっても、こころを肉体と同列にとらえない人はいるし、少なくはないだろう。
 シュタイナー思想(人智学)は理解されるより前に、受け入れることが前提となっている。

 グリネリウス『七歳までの人間教育』(「幼児教育の基本点/家庭での育児/シュタイナー幼稚園の保育/幼稚園の設計と設備」に相当)を読むと、わたしはすでに実践していることと同じと思われることが多々あった。謂わば育児の心得のようなものだ。具体例や実践例もあり、わかりやすい。本全体の七割くらいだ。
 残りの三割で、「七歳まで」の”根拠”が示される。乳歯から永久歯にはえかわるこのタイミング(=7歳)で、からだの成長期が次のステージにはいる。「七歳まで」の次のステージは「七歳から十四歳まで」で、七の倍数でステージが代わるという。これが人智学という思想(哲学)であることが受け入れられない。

p109
//感謝こそが歯の生えかわるまでの幼児の基本的な徳目です。//
p110
//最初の七年間の幼児の成長にとって不可欠なのが、この感謝の気持なのです。
 このようにして最初の七年間、幼児に感謝の気持を持たせることができたならば、七歳から一四歳にかけて、その子供は容易にすべての行動ををもって行なうことができるようになります。こそ第二期(7~14歳)の人生の主要な徳目なのです。//
※ということで、第一期を「0から7歳」とするならば、「感謝の気持ちを持つ」ことが可能なのはこの全期間ではあるまい。人智学がいう「感謝」とは、その意味するところをわたしは認知できない。
p110
//歯の生えかわる時期から性的な成熟に達するまでに、をもって体験してきたことのなかから、性的に成熟した人間のもっとも内的な衝動として、義務が育成されます。ゲーテが美しく述べた言葉、「義務とは何か。それは人が自らに命ずる事柄を愛することだ」こそ、生きる上での基準となるべきものです。このような方向にそった教育が為されなければなりません。けれどもそれが可能なのは、感謝義務の三段階が、段階を追って、育成されるときだけなのです。(1924年7月23日、「人間認識の教育的価値と教育学の文化的価値」)//
義務こそ第三期に相当する期間は、14~21歳ということか。段階を追って育成される感謝とは? とは? 義務とは? 我が理解は進まない。


 これよりは、「受け入れられる」ところを記そう。

2023.12.4記す

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