M.G.ヘネシー(原書2016)『変化球男子』

 アメリカの作家M.G.ヘネシー(原書2016)『変化球男子』を読んだ。どんな本かはネットで調べればわかりそうだが、主人公は「6年生」。日本と同じで小学6年生に相当するのだと思う。物語では「ぼく」と語る。ロサンゼルス少年チーム「カーディナルズ」のエースだ。”彼”はトランスジェンター。障碍のある・なしについては、現場や実体験もあってそれなりに私は理解しているつもりだ。障碍は才能の一つだとも捉えている。その延長線上でLGBTについても関心はあったが、しかし、きちんと知りたいと思っていて、この本を手にした。読んで、何も理解していない自分に気づいた。恥じてはいないが、もっと知る必要を強く感じた。
 発行所は鈴木出版。2018年刊。子どもの向けの本として扱われている。LGBTを理解するきっかけになるだけでなく、差別や障碍を考える動機づけに十分で、自身の生き方から社会に何が必要かを深く問うことになるだろう。概括的なあるいは網羅的な解説書・啓発書より、まずはこの本を読まれることが理解への早道と思う。LGBTの支援活動を作家としてよりも先行している。そして、本作がデビュー作だが、小説としてもよく出来ていると思う。教育、福祉関係、まちづくりにかかわっている人たちには、ぜひ読んで欲しいと思う。


「みんなのなかで一番にならなくていい、自分のなかで一番になれ」が監督の口癖だ。── p74

トランスジェンターの子のなかには、自分がこういうふうに生まれてきてラッキーだという子もいた。トランスジェンターであることが、自分をユニークでスペシャルな存在にしてくれるから、もし変われるとしても変わりたくないとまでいった。── p156

2019.6.15記す