リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』紀伊國屋書店 2018年(40周年記念版)
p84
//厳密に言うなら、この本には、『利己的なシストロン』でも『利己的な染色体』でもなく、『いくぶん利己的な染色体の大きな小片とさらに利己的な染色体の小さな小片』という題名を付けるべきだった。しかしどう見てもこれは魅力的な題名ではない。そこで私は、遺伝子を何代も続く可能性のある染色体の小さな小片と定義して、この本に『利己的な遺伝子』というタイトルを付けたのである。//
p85
//ここで、第1章の章末に残した問題に立ち返ってきたわけだ。第1章では、自然淘汰の基本単位という肩書きに値するあらゆる単位が、利己的だと考えられることを見た。また、人によって、〔1〕種を自然淘汰の単位と考える人、〔2〕種内の個体群ないし集団を単位と考える人、あるいは〔3〕個体を単位と考える人もいることを見た。私は自然淘汰の基本単位として、したがって利己主義の基本単位として、〔123ではなく〕〔4〕遺伝子を考えたほうがよいと述べた。私が今行なったのは、私の主張が必ず正しくなるように遺伝子を定義することである。
最も一般的な形で言えば、自然淘汰とは各単位の生存に差があるということだ。生き残るものもあれば死ぬものもあるのだが、この選択的な死が世界に何らかの影響を及ぼすには、さらに条件が必要だ。〔……つづくがここで止める〕//
この本を読んで(リチャード・ドーキンスの主張から)発想を得た。宇宙のビッグバンはゼロがはじまりである。はじまりは、空間のはじまりであり、時間のはじまりである。「遺伝子」と「ゼロ」が、わたしの発想を等式で結んだ。宇宙は、膨張と、予測ではあるが収縮を繰り返す。生命の核「遺伝子」を「利己的な」で修飾するならば、宇宙には「振り子的な」が似合うと思った。
「原始のスープ」で生命が生まれるためには ①寿命 ②多産性 ③複製の正確さ の3つの条件が必要としている。さらに、④競争を条件に加えている。上記の「利己的な」は競争に対応し、つまり遺伝子を指している。宇宙にあてはめると①②③は説明が必要だが〔※註〕備わっている。「④競争」に対応するのは「膨張と収縮」と考えた。だから、「振り子的な」となる。
※註:①寿命は「ただちに消える」ことなく、有限の時間の長さを指していると考える。その長さは長いほど有利に作用する。素粒子などや遺伝子の寿命。②多産性は生命であるが、爆発は物質の増加をあらわす。③素粒子など物質の物理的組成や化学的性質は複製の正確さそのものである。
遺伝子は生命(生存機械)を住処としている。「宇宙」は時空を生み出す空間(住処に対応)であって「宇宙物質」によって生成される。
さらに、「主体」を飾る言葉を考えた。主体を形成する重要な要素は「つまずき」である。つまずきが主体を育てる、鍛える。「つまずく主体」ということか。「つまずきの主体論」。
2024.11.18記す