地球が平らではなく「まるい」と知ったのは、いつの頃であったか。アンソニー・ラビエリ『地球はまるい』(福音館書店 1967年)によると──
//世界はボールのような球だと、はじめにいった人は、ギリシャのゆうめいな学者ピタゴラスだったらしい。ピタゴラスは、今からやく2500年まえの人だ。//
……//それから200年のち、ギリシャのえらい学者アリストテレスはピタゴラスがただしかったこと、つまり地球が球であることを証明するてがかりを空に発見した。//
……//しかし、それから何百年かたっても〔「語っても or か経っても」の区別不能〕地球がこまのように自分で回っている球なのだ、ということをしんじる人は かぞえるほどしかなかった。//
……//ピタゴラスの時代から2000年のちの15世紀になるまで たいていの人は、地球は平ったいものと なおも しんじていた。//
……//今からほぼ500年まえ ふなのりのクリストファー・コロンブスは昔のかしこい人たちがかいた本を研究した。そして、地球はまるいということを証明するための いだいな第一歩をふみだした。コロンブスは何百年ものあいだ学者しかしらなかった地球がまるいということを、じっさいに証明して、そのときかぎり地球は平ったいものというかんがえをなくさせてしまった。//
真理をより多くの人たちが知ることに、どれほどの時間がかかったことか。「地球はまるい」を人類共有の資産にするまでには、宗教イデオロギーなどさまざまな関門があった。しかし現代、インターネットの時代にあって、人類が獲得した「知見」は一瞬のうちに地球をめぐる。人類共有資産としての叡智(えいち)を見定める叡智は、いまや混迷している。
2024.12.25記す