夕陽は大きく見える ── 擬育33

 お彼岸のとき、大阪市にある四天王寺では、西門にある鳥居の方角に陽が沈むという。それを目撃したいと狙っていたのに、今年(2020年)はそれどころでなくなった。
 NHKラジオの子ども電話相談で「沈むおひさまはなぜ大きいの」と質問したところ、「同じ大きさだよ。大きく見えるだけだよ」と応えていた。夜の野外活動で星夜の説明をしているとき、私が「星はこっちからこっちへ動いている」と指さししていると、見知らぬおとなが寄ってきて、「星は動いてない。地球が動いている」と口を挟んできた。余計なお世話だ。
 太陽がまさに水平線に沈むとき「もうすぐジュッと聞こえるよ」と子どもに説明する。水平線近くでは、太陽はまさに動いている様子が観察できる。「なんも聞こえへん」と子どもが返してきたら「遠すぎるからかなあ」と笑ってごまかす。
 太陽は毎日海に沈んで、あくる日は新しい太陽が生まれて昇ってくると続ける。〈ウソやん!〉と思いながら会話を楽しんでくれる。
 私は〈正しい・正答〉を言いたくない。見たとおり、今、目にしたことを記憶にとどめてほしい。沈む太陽は赤々として確かに大きく見える。地球は動いていると感じられない。星が動いていることは容易に確かめられる。太陽が海に浸かる音、それが聞こえないのは残念だけど、ロマンを伝えたい。
 正しい答えがあるとすれば、おとなになるまでに、いつか必ずどこかで学ぶことだろう。

(参考)国立天文台webサイト 月や太陽が大きく見えるのはなぜ?

2020.4.15記す