音楽用語でピアニシモは、小さな音。音楽を専門とされている人には「小さな……」という表現では物足りないだろう。弱く、もっと弱く、いや、もっとソフトにやさしく繊細にということになるだろうか。
フォルティッシモは、その極にある。
ピアニッシモからフォルティッシモまでの拡がりを音響の世界ではダイナミックレンジという。私は20代、この拡がりを「感動という名のものさし」と表現し、野外活動の指針としていた。
まったく音のしない世界、つまり、無音は自然界にあるのだろうか。まったく光がない世界、つまり、闇。これも自然界にあるのだろうか。(2020年)6月6日は満月だ。満月はとっても明るい。昼間のように、お月さまの影ができる。お月さまの影は、お日さまの影より暗く濃い。真っ暗だ。竹やぶや大きな木の影、昼間は涼しくて気持ちいいけれど、満月の影は真っ暗でコワイ。夜8時頃、外に出てお月さまの影をさがしてみよう。影踏みで遊べるぞ。
音については、絶対に、洞窟が体験にグッドだが、なかなか機会がない。姫路北部の生野銀山跡が観光で公開されている。行楽先に選び行ってみるのもよかろう。
山で冷たい水に出会うこともダイナミックレンジ獲得の資源になる。水たまりがあると、子どもは入りたがる。泥水遊びも楽しい。大雨のとき、安全を確かめた上でカサをさしてみよう。凄い音と力が伝わってくる。虹は、虹が輝いているところで、細かい雨が降っていることを報せてくれている。
おうちでできるダイナミックレンジ獲得法。たとえば、たまご。生たまごを上手に割る練習をしてみよう。そして、次は、ゆでたまごを作って、殻をむこう。おっと、その前に……。たまごをコマのようにくるくるまわしてみる。ゆでたまごはクルクルと回転するけれど、生たまごはゆーらりとゆっくりまわる。
ダイナミックレンジは、五感をたくみにつかった「からだのものさし」ともいえる。
2022.8.2Rewrite
2020.6.1記す