Home > 砂をすくうように > 子ども期の再生 > 育6選書
- 作/神沢利子 絵/平山英三
- 1980年 こどものとも(月刊絵本) 福音館書店
幼児の手をひきながら、「ぽとんぽとんはなんのおと」と いつかおぼえた言葉が湧いてきた。「幼児の手」はとりあえずここでは関係ない。「ぽとんぽとんはなんのおと」と何度も刻む自分がいた。「なんのおと」だろう?
「ぽとんぽとんはなんのおと」は絵本のタイトルだ。ストーリーはまったく忘れていた。山のなか、ゆきがしんしんとふりつもっていました。クマの親子が穴のなかで会話していました。「かーん かーんって おとが するよ。 かーん かーんって なんの おと?」
ぼうやはたずねます。
かあさんがこたえます。
「ほっほー ほっほー おとがするよ。
ほっほー ほっほーって なんの おと?」
かあさんはまたこたえます。
「かあさん、なんだか しずかだね。
どうして しーんと しずかなの?」
こんな静かな日は、雪がしんしんと積もるのよ、とこたえます。
それからそれから──
「ぽとん ぽとんって おとが するよ。
ぽとん ぽとんって なんの おと?」
2019.2.3記す