||||| 新渡戸稲造『武士道』第13章:刀・武士の魂 |||

Home > 砂をすくうように > 新渡戸稲造『武士道』を読む

刀・武士の魂

刀は、武士階級の象徴

 第13章「刀・武士の魂」。章タイトルがすべて、で言を要しない。本章には内容がない。少年が「武士」になる、その儀式が描かれている。──五歳の時武士の服装一式を着けて碁盤の上に立たせられ、これまで玩(もてあそ)んでいた玩具の小刀の代りに真物(ほんもの)の刀を腰に挿すことにより始めて武士の資格を認められるのは、彼にとりて重要なる貴会であった。──
 刀が武士の魂であることは、次のことを言わねばならない。──武士道は刀の無分別なる使用を是認するか。答えて曰く、断じてしからず!──

 勝海舟はこう語ったという。──刀でも、ひどく丈夫に結えて、決して抜けないようにしてあった。人に斬られても、こちらは斬らぬという覚悟だった。ナニ蚤(のみ)や虱(しらみ)だと思えばいいのさ。肩につかまって、チクリチクリと刺しても、ただ痒いだけだ、生命に関りはしないよ──
 武士道は偉人を生む。

2019.11.18記す

© 2024 ||||| YAMADA,Toshiyuki |||, All rights reserved.