手がかりとして重要で不可欠なのは「他者」の存在です。他者は外に見ることができます。他者と同じように、自分にも顔があり、目や口や耳があり、また表情をもつことを知ってゆくのです。このように他人を見る知く、自分を見はじめる、つまり外界にある認識の対象としての他者と同じく、自分というものが認識の対象となりはじめるのは、乳児期の終りに近い、一歳半ばから二歳の間頃と考えられます。ちなみに、鏡の中のお母さんは簡単に見わけても、自分の像を見て自分だとわかり出すのも、満二歳頃を待たねばなりません。
- 岡本夏木2005年『幼児期』岩波書店(岩波新書)p179
- 赤色マーキングは引用者による
2015.8.13記す