フジづるにぶらさがる ── 擬育56

 「フジづる」って、おわかりだろうか。公園や園庭などにある藤棚の藤(ふじ)は、ふじのつるが絡(から)まって棚になっているから風情がある。フジは日光浴が大好きだ。山に自生しているフジは人が通る山道や散策道に多い。が、木にからみついて木を枯らしてしまうので、管理の行き届いた道ほど切られてフジは育たない。山道から外れて、日射しが入り込む林の中では、がっしり太ったフジに、よく出会う。
 遊びやすいものを見つけたときは、それなりに遊ばせる。先日、子どもを持ち上げれば、ぶら下がれるフジを見つけた。太くて格好いいフジだ。一人、二人、また一人……と、持ち上げた。5歳児の握力は、自身の体重を支えられるものの……すぐ落ちる。手を放す。この光景をみていた子どもたちは、順番を確保しようと並んだ。自発で並ぶという選択はさすが5歳児と思った。しかし、その並んだ人数を見て、(よーさん、かつがなあかんなあ)と覚悟を決める。
 5歳児の軽さ程度は、脇を抱えて持ち上げるたびに(かわいい)と思う。しかし、だ。軽くない子が混じる。一人二人と重めの子を持ち上げると体力がなくなる。重いのはかなわないが、大きくなったなあ!と思ってしまう。
 若い保育士も加勢してくれる。野外活動を行う保育士は鍛えられる。フジづるに、つかまりたい。彼らの目線はフジづるに結びついている。保育士も私も持ち上げるだけの労力提供。子どもに目標があり、それを達成できるように私たちおとながサポートする。それでいい。このような単純労働はわかりやすくていい。
 並んでいる列は解消されなかった。申し訳ない。体力が続かなかった。

2021.4.1記す