|||||『ちゃんと泣ける子に育てよう』を読んで、思うこと |||

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 本のタイトルで思い出した。泣けばいいのに、我慢をして我慢をして、その代わり、対抗相手をののしり罵倒し、そのあげく相手に突っかかっていった子がいたなあと思い出す。私と同じ〈山田君〉だった。小学4年生くらいだったと思うが、定かでない。もう40年も昔のことだ。言い換えれば、その40年以上前から〈泣けない子〉は、いた。

 子どものケンカは、泣くことで局面が変わる。泣かすほうが悪いのか、泣き虫が悪いのか、それは場面で異なるが、子どもは立派に判事役ができる。ところが、〈泣けない子〉が混じると、ちょっとややこしい。〈泣けない子〉が孤立し、味方がいなくなる。

 本の副題に「親には子どもの感情を育てる義務がある」

 〈義務〉とは厳しいなあと思ったら、本文の冒頭で断りがあった。

──
親には子どもの感情を育てる義務があります。
それは子どもを生んだ以上、義務です。
義務は強い言葉ですが、あえてそう言おうと思いました。
義務を果たすためには、親が親として覚悟を決める必要があります。
親として子どもを愛する、という覚悟です。
これは当たり前のことのようですが、実はとてもむずかしい。
親を癒やしてくれる存在として、子どもを愛している場合や、
親の自尊心を満たすために、子どもを愛している場合には、
義務を果たせないからです。
──

 臨床心理士の著者は、児童福祉施設で指導員として勤務経験があると経歴にある。精神科思春期外来、教育センターなどで相談員を経験してきたともある。その経験から〈義務〉という厳しい言葉をつかってでも訴えたいことがあるのだろうと思う。
 そして本書は、心理学用語をなるべくつかわず、具体的ケースで理解を求めようとしている。
 渦中にいる親子関係では役立つ本かもしれない。しかし、具体的ケースで書かれているようなシナリオ通りにいくと、私は思わなかった。記されているとおりでなかった場合、応用して理解する余裕が親にあるだろうかと思った。
 本を批判するつもりはない。今の時代、求められる本かもしれない。2006年に出版され、2015年で10刷まで重版されている。そして、現在も新刊書店で流通している。〈義務〉を説明する冒頭の文章を読むと、「親として子どもを愛する、という覚悟」とあるが、それを「覚悟」とまで言われると、親には辛いだろうと、私は思う。 

 本からエッセンスを得たいと思い、何度も試みたが、わかりやすい表現にしていることが、かえって興味を失った。読み通せなかった。個人間の人間関係で解決しようとするからだろう。「泣けない子」を生みだした社会問題ではないかと思う。不登校、いじめ、同調圧力など、根っ子は深いと思う。

2021.4.19記す

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