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みなさん若い方は今も唄うのでしょうか。数ある絵本「ももたろう」のなかで、松谷みよ子(文)と和歌山静子(絵)の『ももたろう』(童心社)は、「ひとつはやらん。はんぶんやる」と主人公は言う。理由はストーリーでは説明されていない。
「はんぶんやる」と聞かされた子どもたちは、「けちだという子」「全部やったら自分の分もなくなる」と議論になるそうだ。
//「腰のものは何でござりゃ。」「日本一のトウキビダンゴ。」「一つつかあせえ、おともします。」「一つはどうなん、半分やる。」 この「一つはどうなん、半分やる」桃太郎を、けちだという子もおり、犬、猿、雉にわけるのだから全部やったら自分の分もなくなるから仕方ないという子もいて、子供たちの議論が起るところなのだが、岡山に伝わる桃太郎は、このように優等生ではまったくない人間味溢れる桃太郎なのだった。農民の間にかく語り継がれた桃太郎があることに、私は深い感動を感じる。//※『なんと昔があったげな』上巻 岡山民話の会 1964年
鬼退治という物語設定がわかりやすい一方で、なぜ半分なのか? ずっとひっかかったままでいた。けらいになるとしても、きびだんご一つで身を売ってはならないということかもしれない。多種多様さまざまに語り継がれてきた。語り伝えの途中、どなたかがあるとき「ひとつはやらん」と語り口にいたずらを加えたとしたら……。あとの半分は自分で埋め合わせるしかない。合点がいったとほくそ笑む自分がいる。
2025.2.15記す
