Home > 言葉に、こだわりながらも:つぶやき Opinion
「しにざま」を新明解国語辞典第三版でひいた。──死(に)様。その人の死んだ時の様子。──とある。しかし、「いきざま」はこの辞書にない。それでよい。
「死に様」は「死んだ時の様子」だから、時(=時間)は進まない。臨終に立ち会った人は、最期の会話やもう少し遡ってやや元気なトキを思い出しているかもしれず、それらも含めて「しにざま」と言うかもしれない。そして、息をひきとってからは時は進まない。
この言葉と対比させてと思うのだが「いきざま」がつかわれることがある。私は、それを間違いと考えている。「いきざま」は「行き様」の文字を当てるのだろうか。「いきざま」の時間は止まらない。いのちの尊厳を思うとき、「しにざま」には思いは馳せるが「いきざま」は奢りに思えてならない。
2019.5.13記す