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山鳥重『心は何でできているのか』2011年 角川書店
p175
//ぼんやりとしか見ていなかったものでも、もっとよく見ようと意識を集めますと、対象の中にある形が浮かび上がってきたり、ある声がはっきりと聞こえてくるようになります。なんとなくぼんやりとしかしていなかったものが、意志的に注意を集めると、はっきりした姿を現します。//
p175
//注意が選び取った心像が、より鮮明に立ち上がるようになります。あることに注意を向ける、ということは、特定の心像経験を鮮明化するということなのです。//
p175
//今、自分がフイと思いついたことがあり、そのまま、またフイと消えたとします。「あれ? 今いいことを思いついたんだが、なんやった?」と自問して、その経験を追おうとします。このとき注意が働きます。こころには常時多数の心像群が浮かんだり消えたりしていますが、その中から、今さっき浮かんだ奴を探そうとする働きです。//
※注意は //外に向かう// だけでなく、内向きの //おのれの心像の鮮明化を実現する働き// としても働く。これは、「ひらめき」ということでもあろう。
p176
//「思う」というのも、基本的には注意と同じ働きです。外部対象に向かわず、自分のこころの働きに意識を集めるのが、「思う」ことなのです。//
p175
//一般的用語としては、外部対象に意識を集めることを「注意」、内的経験に意識を集めることを「思考」と区別しているだけで、こころの働きとしては同じことです。自分の意志で、自分の心像を選択し、選択した心像を鮮明化する働き、それが注意であり、思考なのです。//
2022.12.2記す