||||| ホンモノとニセモノ |||

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 「開運!なんでも鑑定団」というテレビ番組がある。(さあ! ホンモノかニセモノか!)と番組は盛り上がる。(ホンモノだと鑑定額はいくらになるか!)これが次の関心事だ。ホンモノはニセモノと対置されることで「ホンモノ」に意味が託される。同じくニセモノは「ホンモノ」と対置されることで意味を為す。2つのうちどちらかだけが使用されることはない。ホンモノと明らかになってから、あるいはニセモノと判定されてからは、どちらか一方だけの言葉が汎用されるようになる。

 さて、巷間で「ホンモノの○○」と賞賛され、その価値が強調されることがしばしばある。鑑定団のような事例を除けば、「ニセモノの○○」とは何かについて明示されることは、ほぼない。なぜだろうか。
(1) 比較するに確たる証拠がない
(2) 当座の目的は「ホンモノの○○」を強調することにあり、「ニセモノの○○」はどうでもよい
(3) 「ニセモノの○○」がその場で忘れられた存在になっている
(4) 「ニセモノの○○」が話題になると不利益になる
(5) 「ニセモノの○○」に利権をもつ人を傷つける
(6) ……その他、数限りなく理由はあるだろう

 「ホンモノの○○」はそれを主張する人の思惑だけで筋書きができている。その「筋書き」を顕わにしないことが、忖度されている、ということであろう。

//床の間には真ものの鎧兜を列べ、その脇には大小の刀を飾った。長押には槍長刀、弓まで飾ってある。このようなのが老人の日頃の趣味でもあった。//(坪田譲治「子供の季節」)

2023.9.2記す

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