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酒井邦嘉『科学という考え方』中公新書 2016年
p6
//科学的な思考力を身につけるための確実な方法があるとすれば、「納得いくまで自分で考える」ということに尽きる。//
p8
//科学の発展には非合理的な面があると述べたが、科学の基礎に「論理的な思考」があることは動かない。//
p18
//人間も動物の一部にすぎないという暗黙の了解には居心地の悪さを感じている。//
p19
//人間もまた、他の動物には見られない独特の性質を持つのであって、「それ以外の何物か」を伴うものではない。//
p20
//そもそも進化に「目的」や「必要性」は存在しない。「なるべくしてなる」というような議論や、「○○のために進化した」というような目的論は、科学的な根拠を欠いている。例えば、「言語はコミュニケーションのために(社会生活で必要だから)進化した」というのは、科学的に誤った議論なのである。//
p20
//さらに、進化は「連続」とは限らない。生物種の普遍性を重視するあまり、一つひとつの突然変異は不連続であっても、変異に変異が積み重なっていくことを連続的だと見なしがちである。人類の進化の系譜は、猿人→原人→旧人→新人という連続的で直列的なものではなかったことは、すでに人類学で明らかにされている。ある時に生じた大きな変異が本質的に異なる影響をもたらすなら、それは不連続な進化と見なさなくてはならない。//
p21
//サイエンスの目標は、自然現象の奥底にある原理や法則を明らかにすることだ。つまり、現象の記述だけに終始するような「現象論」から訣別して、その現象の目に見えないメカニズムを見えるようにすることである。//

山口和彦『こどもの「こころと脳」を科学する』ジャパンマシニスト社 2022年
p34
//反証可能な仮説は科学的仮説であり、反証可能性が保証されない説は疑似科学、エセ科学//

開一夫『赤ちゃんの不思議』岩波新書 2011年
p59
//科学の本質は理論の反証可能性にあります。//
p168
//赤ちゃん抜きで赤ちゃんを対象とした科学的研究はありえません。逆に、赤ちゃんの科学的研究は、赤ちゃんのより良い成育環境を構築する上で重要な示唆を与えます。赤ちゃんと赤ちゃん学はまさに共に成長すると言ってよいでしょう。終章〔p167-188〕では、科学的研究の意義と課題について議論したいと思います。//
以下、小見出し
+ 「科学的」であるとは
+ 早ければ良いのか──臨界期発見の功罪
+ 三歳児神話の嘘と真を見極める──愛着理論の功罪
+ 虐待とネグレクトの実態と科学的研究の必要性
+ 「母親脳・父親脳」?
+ 育児と教育と社会、そして未来

酒井邦嘉『チョムスキーと言語脳科学』集英社 2019年
p17
//サイエンスの基本は、客観性(証明ができること)・普遍性(広い対象に当てはまること)・再現性(繰り返し起こること)の三つである。//

アンリ・エレンベルガー『無意識の発見 上』(弘文堂 1980年)
pⅰ
//私の研究目的は三重である。第一の課題は、従前あった”英雄崇拝”的な見方を離れつつ不偏不党の立場を厳守し、論争に一切巻き込まれず、能うかぎり正確に力動精神医学史を跡づけ直すことである。この方法論の要点を次の四原理にまとめることができるだろう。第一はどんなものでもそれを鵜呑みにしないこと、第二はすべての事項の裏付けをとること、第三はすべての事項をその前後関係の中に置いて眺めること、第四は事実そのものと事実の解釈との間に厳密な一線を引き、両者を混同しないこと、である。事情のゆるす限り一次資料に依拠した。//
※これを要約すれば──
①鵜呑みにしない
②裏付けをとる
③前後関係の中に置いて眺める
④事実とその解釈の間に厳密な一線を引き、両者を混同しない

武谷三男『増補版 科学入門 科学的なものの考え方』

2024.8.3記す

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