乳幼児は天動説であろう。「説」というほどではないが、自分を中心に世界が存在している。だが、おとなは天動説ではなく地動説を支持している(だろう) 図鑑を愛読書にしている小学生は、地球が太陽をまわっていると知っている。太陽がまわることで昼と夜が繰り返されているとは、たぶん思っていない。
夜空を見上げ、月や星をながめる。星の数はいくつあるのだろう。みかづきだった月もいつのまにか満月になっている。夕陽が落ちてみかづきを西の空に見つけるが、満月は東の方角を見上げたところにある。さて、月も星も動いているが、なぜ? 地動説ではなく、もしかして天動説のような思いなのだろうか?
『神々の沈黙』の著者であるジュリアン・ジェインズの〈仮説〉を支持すれば、乳児の、言語野がある脳の半球(左半球とされることが多い)ではなく、もう一方の脳半球(右半球ということになる)には「神」が”いた”ということになる。本のタイトルにあるように、今では「沈黙」している。前2000年紀末までは「神」が人間に働きかけていた。4000年を経て、脳機能の”閾値(いきち)”が高くなり、乳児は神に操作されることはなくなった。4000年の間に、天動説は落ちぶれ、地動説は不動になった。
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2024.10.13記す