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レイ・カーツワイル『ポスト・ヒューマン誕生』(NHK出版)を読み終えた。
//五歳のとき、発明家になると心に決めた。//(p5)が本書の書き出しである。カーツワイルは「脳」について博識ぶりをみせている。幼児健忘をどう理解している?と思った。どうして、このように奇をてらうのか。科学者にあるまじきと思いながら、わたしは読書を進めていた。膨大な注釈を除いて総593ページ。
2月の節分、こわい鬼を保育園で経験し、しかし想起できるのはわずかで、思い出せても5歳からである。4歳のときの鬼は想起できない。記憶にあったとしても、おぼろげなものだ。それを「心に決めた」と自信たっぷりなのは、どうしてか。わたしは、読み始めていきなり疑問をもっていた。幼児健忘について、脳科学者には常識的既知で、現象説明も行われている。カーツワイルが知らないはずはない。
p500
……//やがて人間はサイボーグとなり、知能における非生物的な部分は、そうした脳内の装置を足がかりとして、機能を指数関数的に拡大させていく。//……//2040年代には非生物的な脳のほうが数十億倍もの能力を発揮するようになる。//
【サイボーグ】//人工臓器でからだの一部を改造された超能力の人間。// 新明解国語辞典第三版
やっぱりだ! 前回のこの稿で「サイボーグではないか」と記したが、さほど遠くない未来に人間はサイボーグに変身するという。
わたしは知らなかったが、カーツワイルは「発明家」「予言者」として世界的に有名人物だそうだ。
……//2030年代の初頭、われわれはどうなっているだろう。心臓、肺、赤血球、白血球、血小板、膵臓、甲状腺他全ての内分泌器官、腎臓、膀胱、食道下部、胃、小腸、大腸などはすでに取り除かれている。この時点で残っているのは、骨格、皮膚、生殖器、感覚器官、口と食道上部、そして脳だ。// p394(同書)
カーツワイルは、……
//陸軍科学顧問団は科学調査の優先事項に関して合衆国陸軍に助言する団体だが、わたしはその5人のメンバーのひとりだ。// p430(同書)
//2030年代末期と2040年代までに、われわれの体がバージョン3.0の人体となり、非生物的知能が優勢になるにつれ、サイバー戦争の問題が舞台中央へ躍り出るだろう。// p436(同書)
公共道路を無人自動運転で走るクルマはすでに実用段階にさしかかっている。生成AIでは“人間”が指示をして“こたえ”を求めているが、AI技術者はコンピュータが質問しコンピュータが指示を得る自律型をめざしている。無人運転では省力化や安全性で歓迎されている向きはあるが、コンピュータの自律型については警告が発せられている。
公教育の現場では、デジタル化が急速に進んでいる。検定教科書もデジタルと接続されている。教育・医療・福祉などで、あるいはコンピュータゲームで、生活を便利にまたは浸食されている。
※『「常識」が通じない世界で日本人はどう生きるか』宝島社新書 2022年
──ユヴァル・ノア・ハラリ(『サピエンス全史』の著者)「AI革命と無用者階級の誕生」
p37
//子どもの養育はこの世でおそらく最も重要で大変な仕事であることに気づく必要があるかもしれません。//──
カーツワイルの預言は当たるのかもしれない。そういう未来を、現代の子どもたちにプレゼントしたいと、わたしは思わない。
本書の帯(宣伝コピー)に、ビル・ゲイツが賛辞を寄せている。
//レイ・カーツワイルはわたしの知る限り、人工知能の未来を予言しうる最高の人物だ。ITが急速に進化をとげ、人類がついに生物としての限界を超える未来を、本書は魅惑的に描いている。そのとき、われわれの人生は想像もつかない大変革を経験するだろう。//
唖然とするしかない。
2025.1.15記す
