Home > 言葉に、こだわりながらも:つぶやき Opinion
「ご存知ですか?」と問いかけてくる表記。これに私が返したくなる言い分は、《「ご存知」は、もと「ご存じ」だということを、ゴゾンジデスカ?》 ただし、「ご存じ」が “正しく”、「ご存知」が間違い、と私は考えない。正しさを押しつけることのほうに抵抗を感じるから。
私は本屋なので品切れ中の本を出版社に注文すると、「○月○日出来予定」の返事が来たりする。あるいは「重版出来」。〈出来〉をなんと読むか? 〈でき〉と思い込みこれをずっとつかっていたとき、ある日ある出版社の営業から教えてもらった。《出来=しゅったい》と。国語辞典で確認すると、「しゅったい」の見出しがあった。一方、〈出来る〉は〈できる〉だ。
高校生のとき竹博士で著名な室井綽先生に授業で「重複受精、言ってみぃ」(この問いの意図は忘れた)と私は名指しされた。〈重複〉を〈ちょうふく〉と発音していた。だから、私は〈じゅうふく〉は間違いで〈ちょうふく〉が正しいと思ってきた。しかし、世間では〈じゅうふく〉と読まれることのほうが多い気がする。どちらでも良いのか、どちらかが間違いなのか、未だにわからない。
2021.1.2記す