妖精だったら
保育園5歳児クラスの野外活動で、7月猛暑のなかを田園地帯に行った。
女の子:妖精だったら、飛んで行けるのに……。(リュックを背負っていた)
私:どこへ飛びたい?
女の子:おうち!(一呼吸おいて) 保育園でもいい!
でも、今も生きてる!
子ども(幼児)の語りは、しばしば唐突。
*
おじいちゃん、スズメバチに刺されたし、マムシにかまれた。でも、今も生きてる!
*
おじいちゃん、凄い人。──と尊敬しているのだろう。事実、彼は5歳ながら、なかなかの知的な目線で私には可愛い。野外での動作が図鑑人間でなく観察眼がすごい。おたまじゃくしがたくさん泳いでいる池で、頭上に白い塊。モリアオガエルの名を知っていた彼だが、「あの白いの何?」と訊いてきた。(白い塊は私が教えたのでなく彼の発見)。彼は、モリアオガエルの卵塊を初めて見たのだと、私にはわかった。こういう子どもの将来が楽しみ。
集合住宅のエレベーター
一人乗車のとき、……
香水のにおいがする
(生ゴミの日)くさいにおいのするときがある
雨でもないのに、ぬれた跡がある なんだろう?
たばこのにおいで息をとめる
蚊がいる
小さいカニが乗っていることもある
(ぼんやりして操作ボタンを押さずにいると)
「行き先ボタンを押してください」と声がする
おばけなんかおらへんねんでぇ
- A君(5歳児):おばけなんかおらへんねんでぇ
- 私:サンタクロースは?
- A君:おるっ!
かもしか
- 登場人物
- 先生(保育士養成校)
- 学生A
- 学生B
カモシカを見せたいと先生は学生を案内しています。
- 学生A B:先生、どこにいるの、カモシカ?
- 先生:そこにいるやん(その方向を指差す)
- 学生A:どこ?
- 学生B:どこ?
- 先生:そこ!
- 学生AB:……
- 先生:そこに、いるよ! 見えないの?
- 学生A:あれっ! あれかあ!
- 先生:そうや(ホッとする)
- 学生B:「かもしか」いうから、2本足かと思ったあ~
- 先生:……?
- 学生B:「かもしかのような足」というでしょ。だから……。4本足やあ。そうやったら、初めにゆっといてよ!
この小話は実話に基づいています。カモシカを見たことがなければ、勘違いしたことを一方的に批判できません。より大切なことは「経験・体験」です。「カモシカのような足」は人間のことでカモシカのことではない、というのは、リテラシーの問題でもあります。カモシカに対して体験がなくても、リテラシーが身についていれば、間違いを避けられる可能性があります。この話をおもしろいと思った保育系の先生が別なところで話したところ類似例があったと話していました。現在の親たちに少なからずいると考えてよいでしょう。こんなふうにしてしまったのは、私(山田利行)を含めて、年長者の行いが原因のひとつでもあるでしょう。
水戸黄門
(夕食時、徳川御三家を話題にしているとき)
母:水戸黄門って、そんな人がいたでしょう。
子:ミトコーモンって……? 落語家? 漫才師?
母:ええっ!
(子、ほかの職業を考え始める)
子: アナウンサー?
(どうやら有名人と思っているフシあり)
子:わかった! 江戸時代に昔の服を着ている人やな
母:?
ゆたんぽ
- 登場人物 父 高校生 中学生
- 高校生:これ、なに?
- 父:ゆたんぽ
- 高校生:ユタンポって、なに?
- 父:知らんかあ…… お湯を入れてコタツの代わりにするのよ
- 高校生:灯油を入れるのかと思った
- 父:(ギョッ!)
- (ここに、中学生が現れて──)
- 中学生:これ、なに?
- 父:(おなじ説明をする)
- 中学生:枕と思ったあ
ホームセンターで売っていた湯たんぽは、昔のようにブリキ製じゃなくて、プラスチック。それも赤い灯油缶のよう。だから、灯油入れと間違えたのかもしれない。なんでも経験はダイジですね。
世界はひとつ
- 登場人物
- 父
- 子 … 国語の勉強をしている最中の中学1年生
子:固有名詞って、なに?
父:人名や地名、ものの名前のように、一つしかないもの。
子:「世界」は?
父:それは、普通名詞や!(と、当然のように言う)
子:「世界はひとつ」って、いうよ。固有名詞じゃないの?
父 : ……!?
やさしい娘の、コーネンキ
娘:お母さん、コーネンキ、コーネンキ、言うてるけど、大丈夫やで。
母:何ゆーてんの? 更年期のまっただなかでしんどいのよ?
娘:学校でこのパンフ「健康プラン21」をもらったんよ。コーネンキ(高年期)は65歳以上やから、お母さんはまだ中年期(45~64歳)やでぇ。安心してね。
母:その高年期と違うよ。私のは、「更年期」よ。
娘:な~んだ、どうも変だと思った。
2021.7.17更新