||||| 象のシワ (サトウ・ハチロー)|||

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象のシワ

サトウ・ハチロー

象の背中に シワがある
肩やお腹も シワだらけ
四本の足も すごいシワ
 耳にもシワシワ 鼻もシワ

子供の時から シワがある
赤ちゃん象でも シワがある
はちきれそうに ふとっても
シワがへらない 消えもしない

じっとみてると そのシワの
中にかくれた シワがある
シワの中から こっそりと
小さいシワが のぞいてる

幾千幾万 象のシワ
親ジワ子ジワ 孫のシワ
その又子のシワ 孫のシワ
ひまご つるまご きしゃごジワ

シワでできてる 大きな象
みてると悲しく なってくる
たまらないように なってくる
歩くとそれが 波を打つ

ああ 歩くとそれが 波を打つ
ああ 立てばそれが のびをする
ああ しゃがめばそれが たたまれる
ああ ねねすりゃそれが ゆめをみる

藤田圭雄(たまお)『童謡歳時記』牧書房 1965年 p117

2021.6.27記す

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