||||| 帆塾通信 93 : 2022.4.15 |||

Home > 帆 塾 > 通信バックナンバー

豊か 幸せ 満たされる

=-= Letter 1 ¶ 明日16日、妻が退院予定

 妻の病気は「1型糖尿病」と診断されました。膵臓(すいぞう)が何らかの理由でインスリンを産出できなくなったのです。退院してからは一生(この機能は再生しないらしい)インスリンを注射で投与することになります。毎食後3回と就寝前。原則、私が注入することになります。
 明石市民病院は患者家族のために「糖尿病教室」が開かれていて、注射と血糖値を測る実習を受けました。教材テキストはよく出来ていてわかりやすい。冊子を読んで糖尿病は怖いなあと感想を言ったら、主治医は「怖いです」と頷くように応じてくれました。
 新たな人生が明日から始まるようです。

=-= Letter 2 ¶ ナワシログミ

 田植え前の苗代(なわしろ)を見かける頃に実るところからナワシログミの名があるようです。リンクの写真は 2018年4月18日撮影とあります。入学したばかりの1年生を下校時に迎えに行き、学童保育所までの引率をしていました。その道中、公園でたくさん実っているところを見つけました。
 一見したところ、緑の葉が密集しているだけです。でも、潜り込むと赤い実がどっさり。大きくて美味しそう……。やや渋いのですが、道草していっぱい食べました。美味しい時期は短く、それがちょうど今頃です。芦屋市親水中央公園の東端、公衆トイレの裏にあります。

=-= Letter 3 ¶ 帆塾例会

 24時間の看病生活が始まりました。訪問看護など介護メニューを利用できるようになるのが5月半ばで、新しい生活に慣れるまでにはしばらく時間がかかると思います。例会というかたちは取れませんが、季節にあわせて、おでかけのお勧めを提案しておきたいと思います。

》》》むぎばたけ

 兵庫県加古郡稲美町は、大麦の特産地として知られています。5月連休頃から5月半ばまで、町内どこも黄金色の景色になります。ただし、5月17日の日曜日を過ぎると、田植えの準備が始まるので一気に刈り取りが始まります。例会だと路線バス利用ですが、小グループではクルマでお出かけになるのが便利でしょう。連休中よりも刈り取り直前が、より綺麗です。太陽の日射しが似合うので、晴天をねらって育野がよいと思います。
 「北山天満神社」(稲美町北山)をナビに入れると、むぎ畑の中を走ることになります。神社には隣接して駐車場があります。
 稲の実りより鮮やかです。通り過ぎるだけでもよいので、お勧めします。むぎ畑とヒバリは相性がよく、ヒバリがさえずりながら天に昇っていく風景も見られるでしょう。鳴き声はインターネットで検索してください。

=-= Letter 4 ¶ 連載==「豊かさ」を問う 連続思考(8)

大切と思われている「体験」について考える

 目覚めているあいだのすべての行為を必ずしも「体験」として意識しているわけではない。行為の最中に「体験」として意識していなくても、回想して「体験(していた)」と思うこともあるだろう。夢体験もその一つで、こちらは就寝中ということになる。自意識のすべてが体験というわけではない。
 「まねっこ」を子どもは喜ぶ。動作をまねたり発語をまねたり。しつこいと、やめてよ!と言ったりする。友達(他者)が自己の動作をまねる。他者のなかで自己をみつめることになる。つまり、他者の行為でもって、自己の体験をすることになる。無くて七癖と言うように、気づきにくいこともある自分の特徴を他者が教えてくれるというわけだ。
 前置きはここまでにして、こうした「体験」を論じたいわけではない。

 こうしたあらゆる体験を私はまず2つにわける。積極的体験と消極的体験である。積極的体験をさらに2つにわける。「感動する体験」と「繰り返す体験」である。多くの場合、「感動する体験」を「体験」と称し、この「感動する体験」を求めていると思われる。子ども(特に幼児)の場合、「感動する体験」を味わうともう1回と要求してくる。つまり、繰り返すことになる。「感動する体験」は1度きりの体験で、その学習は「繰り返す体験」に反映される。幼児は、これを無数に体験することで成長がうながされる。
 幼児期を過ぎた子どもや青年、おとなも似たような意識をもつが、体験が繰り返される可能性をおもんぱかる。この「おもんぱかる意識」が働く前の幼児期に、この2つの積極的体験を十分に経験しておくことが極めて重要だと、私は考える。「みんなちがって、みんないい」など、個性を謳う文言はそのとおりと思うが、身につけるには積極的体験が必須になる。
 豊かさを感じとるモノサシは積極的体験によって得られる。

 ところで、健康であるためにはよく眠ること。睡眠のとりかたに関心を持つ人/悩む人は多い。健康を維持するためにはよく歩くこと。健康であるためには、人さまざまな工夫があるだろう。
 眠る/歩く、はこれも体験であり、消極的体験である。「食べる」を含めて日常の”なんでもない”体験は、消極的体験であり、積極的体験は消極的体験を前提(安定)に支えられている。
 貧困課題が社会問題になっている。貧困は消極的体験の欠乏をまねく。消極的体験が乏しくなれば積極的体験は不十分にならざるを得ない。
 「体験」という言葉が上滑りしないよう、豊かさを考えるとき、消極的体験×1+積極的体験×2を1セットで捉えたい。

© 2024 ||||| YAMADA,Toshiyuki |||, All rights reserved.