|||||「微表情」について |||

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 テレビ(NHK)を観ていて──0.2秒や0.5秒で表情が読みとれる──というような放送に出会った。その根拠やそのメカニズムの呼称を知りたいと思い、ネットで調べるとどうやら「微表情」というらしいことがわかった。本(文献)を探したところ「微表情」に「0.2秒のホンネ」とルビをふり『微表情を見抜く技術』(清水建二/飛鳥新社2016年)を見つけた。『オンラインでズバリ伝える力』(佐藤綾子/幻冬舎2020年)には「微表情」がトピックのような扱いで掲載されていた。
 「0.2秒」というヒントを得たとき、瞬時に私は乳幼児のリアクション速度が重なった。私は、あかちゃんも表情を読みとると思っている。
 「微表情」という呼称がわかったことに一応の満足はあるが、ネット情報や先にあげた本での取り上げ方とは求めている意味合いが違うなと思った。
 微表情は一種の嘘発見ツールで、向き合う相手(他者)の心(ホンネ)に接近しようとすることが有効だというふうに扱われている。あかちゃんだけでなく、おそらく野生動物も同じような能力をもっているのではないかと思う。生存能力のひとつが微表情ではないか。そこで、私は異議を唱えたい。
 微表情を読みとることをスキルと認識するとき、それはプライバシーに対してどうなのだ?という疑問だ。スキルとして得た技術にエラーが生じたとき、プライバシーを侵害することにならないだろうか。
 そもそも「微表情」という呼称が適切なのかという疑問もある。

 私の関心事は、以下のとおりである。
 「見る側」に立つのでなく「見られる側」というポジションである。相手(他者)を見抜く意識の立場に陥ることなく、自分は他者から〈見られている〉という意識をもつことが大切ではないか。見られていることについて、0.2秒という瞬時で成立するということだ。糺さなければならないのは自身である。

毛内拡『面白くて眠れなくなる脳科学』p180
//無意識に動作をシンクロさせるのには、0.21秒しかかからないという報告もあります。//
※ここでは「微表情」という言葉はつかわれていないが、ここでいう微表情に相当すると思われる。

2023.2.17Rewrite
2022.5.22記す

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