||||| やっぱり「みつめられていた」|||

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 あかちゃんや乳幼児でより低年齢になるほど、いま目の前のことを写真にとったように記憶する──というのを何がきっかけか、思い出せないでいる。それを信じていて、あかちゃんと出会ったとき、たとえばアイコンタクトをしっかりとって、次回再び出会ったときに効果が出るようにしてきた。
 河合隼雄の〈深層心理〉に関係していたかな、いや全然関係ないかな?などと気になりながら、真相はわからないままだった。ついでながら、ゴッホなど”天才”画家は、おとなになってもあかちゃんのときの特技が失われないままではないかと思い込んだりしていた(根拠はないので的外れかもしれない)。
 要は、乳幼児とのつきあいで、おとなであるわたしたちは、乳幼児に何かをしかけようとするが、じつは「(乳幼児に)見られている」ということを言いたいのである。それだけに、これらの根拠が知りたかった。

 なんと、見つかった! 「直感像記憶(eidetic memory)」という学術名称まで。
//見たものをまるで今見ているかのように描写できるのである//※
//高い割合で子どものほうが大人よりも直感像記憶を持っていて、学習または年齢がこうした能力を弱めるようである//※
「神経神話」:記憶と学習
 直感像記憶という言葉は初めて知ったから、かつて得た知識とは出所が違うかもしれないが、内容は同じだ。そして、根も葉もない話ではなかった。ホッとする。しかしながら、──//科学的証拠がまだ十分なものではない//──の但し書きも添えられてある。
 言葉やそれに伴って知識やそれらに応じたスキルが、直感像記憶を失わせるという推測があることから、保育の現場で学んだ私としては実感が伴う。「神経神話」の脈絡に位置づけられているので、なんとも微妙な取扱いだが、乳幼児のアイデンティティーを理解するためには、極めて根底を成す認識方法と私は思う。
 (おとなが)見るのではなく「(子どもに)見られている」のである。

+ みつめる / みられる / みつめられる

池谷裕二/監修(脳研究者・東京大学教授)
+『学習・記憶のコアを育てるきおくのれんしゅうちょう 3-4歳』①
+『学習・記憶のコアを育てるきおくのれんしゅうちょう 4-6歳』②
+ ①②ともGakken 2022年:表紙裏「監修のことば」①②とも同じ
//幼い子どもが、大人は覚えてもいないようなことを細かく覚えていて、驚いたことはありませんか? それは、見たものを写真のように覚える「画像記憶」の力が発達しているからです。しかし、この能力は、成長に伴って使われなくなっていきます。
 成長してから必要になるのは、単なる画像記憶ではなく、自由にイメージを膨らませることのできる、「柔軟」で「あいまい」な記憶です。この記憶は、画像記憶より覚えやすく、思い出しやすいのです。頭の中でイメージする力は、学習・記憶のコアとなり、自由な思考へとつながります。
 本書では、お子さんが得意な「画像記憶」を使いながら、「作業記憶」(作業をしながら、一時的に必要な情報を覚えておくこと)を育みます。また、成長とともに必要になる「柔軟な記憶力」を、段階的に育てます。//

2023.2.7Rewrite
2023.1.29記す

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