||||| 世界じゃんけん大会で優勝した話 |||

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マシュー・リーバーマン『21世紀の脳科学』p106

//2006年、ロンドン在住の営業部長であるボブ・ターパーは、496人ものライバルを破って見事、世界じゃんけん大会で優勝を飾った。優勝決定戦で5対2とリードし、あと1回勝てば世界の頂点に立つという場面で、パー、グー、チョキであいこが三度続いた。そして次の回でチョキを出し、彼はついにじゃんけんの世界チャンピオンに輝いたのである。
 初心者にとって、じゃんけんは両者に平等な勝ち目のあるランダムなゲームに思えるだろう。ところが最強のプレイヤーは、対戦相手の心を読む”マインドリーダー”だ。彼らは常に相手の”手”を読んでいる。しかも初心者には癖がある。たとえば最初にグーを出す確率が高い。ぐっと拳(こぶし)を握りしめるグーのかたちが、強さを連想させるからかもしれない。また、たいていの初心者は同じ手を二度続けて出した後、必ず別の手を出す。じゃんけんのエキスパートはそのような対戦相手の癖を読んで、勝つ確率をぐんと高めるのだ。
 もちろん世界大会に初心者はいない。百戦錬磨のプレイヤーが複雑な戦略に基づいて攻撃し、相手を迎え撃つ。じゃんけんの極意を訊かれたクーパーは、「こっちがどの手を出すと、相手が思っているかを予想することだ」と答えた。つまりは相手の頭のなかを覗き込んで、「こっちがどの手を出すと相手が思い、その情報を元に相手がどう出るか」を読んだうえで、相手に勝てる手を出す。すべては”相手の心をうまく読み取れるかどうか“なのである。//

2023.3.2記す

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