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『山極寿一×鎌田浩毅 ゴリラと学ぶ』ミネルヴァ書房 2018年
p212
//〔山極寿一〕たぶん7万年くらい前だろうと言われているんですけどね。でも言語はホモ・サピエンスに初めて登場したのではなくて、たぶん言語を喋(しゃべ)る機能ができてしばらくしてから喋るようになったのであろうと言われています。言語を喋る基本的な喉の構造とか舌骨(ぜっこつ)とかはネアンデルタール人にもあるわけです。彼らは喋らないわけではなかった。何らかの言語は使ったかもしれない。でも今の人間の言語につながるような言語体系を喋りはじめたのは、おそらく数万年前だろうと。//
ジュリアン・ジェインズ『神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡』紀伊國屋書店 2005年
p163
//切迫した危険を知らせる呼び声は、最後の音素を変えながら、より強く発せられる。トラが目前に迫ってきた場合は、「ワヒー!」と叫ぶ一方で、トラが遠くにいる場合はそれほど強い叫び声を上げたりはせず、「ワフー」のように、違った終わり方で叫んだかもしれない。つまり、このような語尾が「近い」と「遠い」を意味する最初の修飾語となる。そして次の段階では、このような語尾「ヒー」と「フー」が、それらを生んだ特定の呼び声から離れ、同じ意味を保ちながら別の呼び声につけ加えられるようになる。//
後者は巧みな推測である。「しゃべる機能」とはいえ、”会話”ではない。会話になったかどうかはさておき、前者はその起源を「数万年前だろう」としている。一方、後者では、
//紀元前2万5000年から紀元前1万5000年の間の、いずれかの時点で現れたのかもしれない。
これはただの憶測ではない。まず修飾語、続いて命令語、そしてそれが定着して初めて名詞へと発展していったのは、たんなる偶然の順序ではない。//(p164)
しかしながら(後者においては)──呼び声や叫び声に始まって、言語らしい機能を持ち始めてからは、人間は神との間で機能した。語彙がどのように発展していったのかは不明だが、神との相互交流ではなく幻聴が実態であった。詳細はこちらにある。地球上の各地で文明が芽生え、そして栄え、1000年の単位で盛衰があった。文明が発展する過程で語彙は増えた。語彙が増えたことで、神の声は複雑化し、神の効力や権威が落ちた。
今(現代)から3000年前、言語使用は人間に「意識」をもたらした。言語は人間どうしの間で意識を交換することになった。──以上が、推測である。
2024.10.16記す