||||| 人間原理(宇宙論)|||

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クリストフ・コッホ『意識の探求』下 岩波書店 p441
//もしも、地球に意識をもった生物が進化してこなかったなら、そもそも意識の謎について考えることもなかっただろう。この意味で、我々が意識について考えている状況は、宇宙論の「人間原理」と呼ばれるものに似ている。人間原理では、宇宙の物理法則は生命の出現を強く好むような性質を持っているように見えるというものだ。//

青木薫『宇宙はなぜこのような宇宙なのか
+ 副題:人間原理と宇宙論
+ 講談社 現代新書 2013年

 本書は、本題「人間原理」に触れる前に、//第1章 天の動きを人間はどう見てきたか//(p11~56)に始まる。

p42
//以上のいきさつからわかるように、コペルニクスは太陽を宇宙の中心に置くことをねらったわけではまったくない。「等速円運動の原理」の回復を目指した結果として、「偉大な球」(地球を運ぶ天球)の中心を、宇宙の中心とすることになったのである。//
p46
//コペルニクスの考えはもはや明らかだろう。彼は、われわれ人間のために神が作った宇宙を、神が人間に与えた理性を使うことによって理解しようとし、自分はそれに成功したと考えたのである。
 コペルニクスは、人間を特別な存在だという意味において、人間中心的な考え方をしていた。//

ビッグバン 解説の3通り

A p89

B p133 図の解説文
//宇宙は高温高圧の状態で始まり、膨張を続けながらさまざまな構造が生まれた。このさき、宇宙はさらに膨張し、物質はしだいにまばらになっていくだろう。//

C p175

S・ワインバーグ『宇宙創成はじめの3分間』ちくま学芸文庫
1)宇宙の「はじまり」が「時間のはじまり」
2)遠い昔から人間の心に深く根ざした疑問……「宇宙のはじまり」に向きあう
3)宇宙のごく初期は なおはっきりと眺めることができない

p184
//今日では、「インフレーション+ビッグバン」モデルは、さまざまな実験や観測に支持された信憑性の高いモデルであることがわかっており、「インフレーション+ビッグバン」モデルのことを、「宇宙論の標準モデル」と呼ぶこともある。//
p238
//もちろん、今後、「ビッグバン+インフレーション」モデルを超える理論が登場するかもしれないし、ひも理論が正しいという保証があるわけでもない。ワインバーグにしても、ひも理論を信じなさい、などと言っているのではない。//
※インフレーションとビッグバンが入れ替わっている。
p178
//インフレーション・モデルは、「エキゾチックな(奇異な)」モデルではなく、「コンベンショナルな(普通の)」モデルなのである。//

p185
//この図で斜線になっている部分はすべて、インフレーションを起こしている領域である。それはいわばインフレーションの海だ──この海は激烈に膨張している。海に浮かぶ泡のような領域(図では円)は、インフレーションが終息したところ表している。その領域のことを、「泡宇宙」とか、「島宇宙」などと呼ぶ。
 かつては「ビッグバンの直前に、ほんの一瞬起こった出来事」だと思われていたインフレーション期が、「インフレーションを起こしている空間のほうが普通」になっているのである。そうなる理由は比較的わかりやすい。もしもある場所でインフレーションが起こっているとすると、その空間が激烈な勢いで膨張して広がっていくため、むしろインフレーションを起こしている空間のほうが優勢になるのは自然な成り行きだろう。//
p186
//インフレーション・モデルの多宇宙ヴィジョンによれば、われわれの宇宙は、無数にある泡宇宙のひとつにすぎない。いわゆる「地平線宇宙」──どれだけ高性能の望遠鏡が開発されようとも、そこから先は未来永劫決して見ることができないという意味での、「地平線」の内側──は、図の小さな黒丸(・)の部分である。〔で強調している〕つい最近まで、これが、宇宙のすべてとされていたのだった。この壮大でダイナミックな多宇宙ヴィジョンを、どう受け止めたらよいだろうか? こんな途方もないものを、信用してもよいものだろうか?

p186
//はっきりしているのは、この新しい多宇宙ヴィジョンは単なる思いつきや空想の産物ではないということだ。「宇宙論の標準モデル」は、「エキゾチックな」理論ではない。それは「コンベンショナルな」理論にもとづき、観測と実験によって支持されているモデルなのである。むしろ、よほどエキゾチックで恣意的な仮定でも設けないかぎり、この多宇宙ヴィジョンを追い払うのは難しそうだ。
 こうしてインフレーション・モデルから多宇宙ヴィジョンが自然に出てきたということが、人間原理にとっては大きな転換点となった。なぜなら本章のはじめのところで述べたように、もしも宇宙が無数にあるのなら、弱い人間原理だけでなく、強い人間原理もまた観測選択効果になってしまうからである。
 宇宙がたくさんあるのなら、人間原理の意味は反転する──それは人間中心主義の目的論から、人間による観測選択効果になるのである。//

p150 観測選択効果 弱い人間原理
//観測選択効果はとても簡単かつ常識的なことなので、科学に関する一般向けの本の中で、わざわざ説明されることはまずめったにない。しかし人間原理をめぐる話では格別に重要になってくる//
p153 強い人間原理
p156
//カーターが「弱い人間原理」で説明しようとしたコインシデンスは、さきほど見たように、観測選択効果で説明できるようになった。
 しかし彼が、「強い人間原理」で説明しようとしたコインシデンスは、それではすまない。なぜならこのコインシデンスは、われわれは「この宇宙の中で、存在可能な条件が満たされた時期と場所に」存在しているという話ではすまず、「そもそも宇宙はなぜこのような宇宙だったのか」という問題にかかわっているからである。//

p119
//コインシデンスとは、「あれ?」と思うような偶然の一致のことである。一見すると関係なさそうな二つのことが、思いがけず一致したとしよう。それはたまたま起こった偶然の一致なのかもしれない。しかし、「あれ?」と思ったコインシデンスを、「たまたまだろう」といって受け流してばかりいたら、重大な発見をしそこなうかもしれない。//

p116
//ボンディは、そのころ急速に進展しつつあった素粒子物理学に触発されて、素粒子を扱うミクロなスケールの物理学と、宇宙スケールの物理学とのあいだに、何か結びつきがあるのではないかと考えた。
 そもそも宇宙のすべてを説明できる理論なら、大きなスケールのことだけでなく、ミクロなスケールのことも説明できてしかるべきだろう。ミクロなスケールの対象を扱う理論から出発して、徐々にスケールアップしていき、最終的には宇宙のすべてを説明できるような理論を組み立てるという、いわゆるボトムアップ方式で最初からうまくいくとは思えないけれど、あらゆるスケールで宇宙を説明できる理論を作りたいという希望を、はなから諦めてしまうことはない、とボンディは考えたのである。
 21世紀の今日から振り返ってみれば、20世紀の後半は、たしかにボンディが説いた通り、ミクロなスケールの物理学と宇宙スケールの物理学との深いつながりが明らかになった時代だったといえる。そんな状況の象徴として物理学者がよく持ち出すのが、自分の尻尾に噛みつくヘビ、ウロボロスのイメージだ。//

2025.8.14記す

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