||||| 宇宙論と「人間原理」|||

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 コペルニクス(ポーランドに1473年生まれる)は最初に”地動説”を唱え、これが「コペルニクス的転回」の由来になっている──ということだ。
 『三省堂国語辞典第八版』//意見や説を〈すっかり逆のほうに/根本的に〉変えること。百八十度の転回。//
 ──でも、少々その理解は違うようだ。
 天文学者とされているけれど、そもそもそのカテゴリーも違うようだ。
 青木薫『宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論』講談社現代新書 p46
//コペルニクスは、人間を特別な存在だという意味において、人間中心的な考え方をしていた。//
 宇宙は、人間のために神が与えたもので、人間が住む地球が宇宙の中心でなくてはならないと考えていたが、《「等速円運動の原理」》が成り立たないでいた。どうしたものかと考えるうちに、太陽をまんなかに置き、その周りの円に地球を置いたほうが道理に合う。
 地球と太陽は「偉大な球」として一体化していた。「偉大な球」のまんなかに太陽を置けば《「等速円運動の原理」》が成立する。”地動説”を唱えたのではなく、「偉大な球」を納得できる球(地球と太陽の一体化球)にしようとしたのである。
 どういうこと?と頭を傾げるだろう。無理もない。太陽のまわりを地球が公転していることが正解で、その理解を基礎にコペルニクス的転回を受けとめようとするからだ。虚心坦懐にものごとを受け入れることは、なかなかむずかしい。

 宇宙論における「人間原理」を学びたくて、青木薫『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』(2013年)を読んだ。哲学書ではなく、宇宙科学の本である。「やさしい」とは言えないが、むずかしくもない。253ページの新書本一冊で、宇宙をテーマにした場合の、人間のありかたとその変遷(歴史)がわかる。
 紀元前から今日に至るザッと三千年、文明の利器は産業革命など幾多の変遷を経てきたが、「人間は変わっていない/変わらない」と、わたしは思った。さらに言えば、600万年前の哺乳類誕生から人間は進化途上にある、とも思う。
 レイ・カーツワイル『ポスト・ヒューマン誕生』(NHK出版 2007年)には、//もしもわずかでも光速の限界から逃れることができれば、ついには、超光速の能力を駆使できるようになるだろう。われわれの文明が、宇宙のすみずみにまで創造性と知能を浸透させることが、早くできるか、それともゆっくりとしかできないかは、光速の制限がどれだけゆるぎないものかどうかにかかっている。//(p33)──この記述は、600万年前まで遡れる人間を冒涜するもので、人類滅亡を予言する。AI技術を特定の人たちが占有してしまう恐怖を感じる。
 宇宙論で否定されてきた「人間原理」が見直され、科学者に受け入れられようとしている。

2025.8.15記す

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