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ぎゅうぎゅうづめ
- 絵本『てぶくろ』
- エウゲーニー・M・ラチョフ /絵
- うちだりさこ /訳
- 福音館書店 1965年
堅い表紙を開くと、雪道に落ちている手袋の片方が描かれています。子どもの目には、とっても大きな手袋に見えることでしょう。
さむいさむい日でした。そこへ、ねずみが1ぴきとおりがかり手袋を見つけ、もぐりこみました。
そこへ、かえるが1ぴき はねてきました。そして、かえるも手袋に入れてもらいました。
そうやって、うさぎ、きつね、おおかみ、と、とおりがかった動物たちは入れてもらいます。これだけの動物たちが、ちいさな手袋に入ってしまうのですから、どうなっているのでしょう。
もう満員なのに、いのししも入れてくれという。ぎゅうぎゅうづめのところへ、最後は、くまも入りました。
動物たちが何をしているのか、どんなようすなのか想像すると楽しい。さむいさむい冬にこの絵本を読むと、あったかくなりますね。
さて、満員の手袋は、むくむく動いていたんですって。
手袋を落としたおじいさんはもどってきたのですが、ひと足早く、連れていた犬のほうが先に手袋を見つけました。
動いている手袋にむかって犬はほえました。「わん、わん、わん」。
動物たちは逃げ出して、からっぽになった手袋をおじいさんは拾いあげました。手袋のお話、知っているのは だあれだ。
おやっ? てぶくろの片方がない! 落としたのかなあ……
おじいさんが手袋をさがしているあいだ、動物たちが手袋で遊んでいました。手袋をみつけたねずみ、ねずみが暖を取っている手袋の中へ、かえる、うさぎ、きつね、……「はいってもいいですか?」と次から次へと入れてもらいます。「どうぞ、どうぞ、……」 もう満員。そこへ、おおかみも、いのししも、くまも加わります。絵本のページをめくると、動物たちがひしめきあい、手袋が動いています。
子どもとぜひ語り合って欲しい。てぶくろ、大きいのかなあ。中で何しているのかなあ。ごはん、食べているのかなあ。不思議だけど、おもしろい。くっきり描かれた絵がイメージを誘います。
2019.5.31記す