||||| 「ぼんやり」を味方につける |||

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開一夫『赤ちゃんの不思議』岩波新書 p143
//脳機能を支えている上で最も重要であると考えられているのが、神経細胞間を繋ぐネットワークの形成です。神経細胞には長く伸びた軸索という部分があり、これが別の神経細胞の樹状突起と呼ばれる部分と接合して「シナプス」を形成します。一つの神経細胞にはおよそ数千個以上のシナプスが形成されていると言われています。脳に1000億の神経細胞があるとすると、単純に計算すると約100兆という膨大な数のシナプスが脳の中に存在することになります。//

 1000億や100兆という数字、すごい!とは思うものの、なんのことやらわからない。脳半球は右と左で機能が異なる。左は言語をあやつり優位脳の異名がある。右は空間認識にすぐれ芸術を支えている。しかし、左右の機能分化はすべての人にあてはならない。脳のはたらきはその解明が進んでいる。認知症予防やうつ病などのクスリが開発されるかもしれない。これらのことは、脳科学研究者の独占的知見だ。平凡なわたしたちはこうしたことをどう役立てればいいのだろう。

 脳機能は細分化され個別に働いているのではなく、脳”全体で働いている”という。これを表現するために、”ネットワーク”という用語を使っている。
 虫明元『学ぶ脳』(岩波書店)では、ネットワークを5つに分けている。
①基本系ネットワーク
②気づきネットワーク
③感覚運動ネットワーク
④皮質下ネットワーク
⑤執行系ネットワーク
 この5つをわかりやすく説明するのはむずかしい。①は、寝ているとき、起きているときは「脳が休んでいるとき」の状態。⑤は、懸命に何かに取り組んでいるとき。つまり、脳が”活躍している”とき。②③④は何かに取り組んでいるときの裏方役とでもしておこう。
①は「デフォルト・モード・ネットワーク」が”正式名称”。

虫明元『学ぶ脳』p123
//日常の半分以上を基本系ネットワークの活動が占めることから、脳の中ではハブとなっている膨大なネットワークのつながりを自律的に調整し続けるファシリテーション型が重要であると考えられる。//
同p100
//一日の生活の中に少しでもぼんやりする時間を習慣的に持つことは、基本系ネットワークの発散的思考を最大限に活動させることにつながる。//

 「ぼんやり」してて、果たして脳は活躍できるのだろうか? この疑問に関しては、「ぼんやり」している時間があるからこそ、活躍できる、ということになる。

同p96
//脳を構成する細胞は多数あり、その可能な組み合わせは天文学的な数になる。//……//創造性をある方向性に向けてきちんとガイドするにはやはりスキルが求められる。//

同p121
//非認知的スキルの高い人は、効率よく認知的スキルのネットワーク間を探索しやり取りできる能力を持った人と言える。//
 「非認知的スキルの高い人」という表現が可能ということは、「ぼんやり」するスキルを身につけられるということを意味している。風呂に入ってゆったりしているときに、何かがひらめくように……。

(参考)インターバル・ハーモニー × 動的平衡

2025.11.15記す

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