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大脳機能の左右差

//大脳の機能に左右差があることを発見したのは、アメリカのロジャー・スペリーという神経科学者で、1981年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。ただし巷で流れている右脳(うのう)俗説は、全部が正しいわけではありません。また学術用語に「右脳(うのう)」という用語はなく、「大脳右(みぎ)半球」と呼びます。
 多くの人では、「大脳左(ひだり)半球」(以下、左半球)には言語中枢があります。言葉にすること、計算、それから分析してどちらが大きいかなどと比較するようなことは、左半球が得意です。
 それに対し、「大脳右半球」(以下、右半球)は空間を認知したり、全体を把握したり、顔の判別や、意味を理解するということが得意です。//

山口和彦(脳神経科学)
『こどもの「こころと脳」を科学する』ジャパンマシニスト社 2022年 p171

右脳・左脳にまつわる多数の「脳科学神話」

//昨今の脳科学ブームの影響からか、世の中には右脳・左脳にまつわる多数の「脳科学神話」が溢れています。右脳は感性や感情を司り、左脳は言語の論理的思考を司るという話は今までのところ科学的根拠のない「神話」です。重要な点は、右脳(左脳)だけが感情的処理(言語処理)にかかわっているのではなく、個々の脳機能に関して「相対的」に優位な(相対的に活動が大きい)半球があるということです。//

開一夫(発達認知神経科学)
『赤ちゃんの不思議』岩波新書 2011年 p162

「神経神話」:学習ノート

 右脳/左脳という呼称を不用意につかうものではない、ということはよくわかる。「大脳右(左)半球」と記すことが正解なのだろう。《「右(左)大脳半球」の表記もあるようだ 》
 ところで一方、こうした注釈や断りを入れている科学を下地にした本(上記の事例本)で「右脳/左脳」表記にしばしば出会う。「大脳右(左)半球」と表記する煩雑さや堅苦しい文字面を「右脳/左脳」はやわらげる。そういう簡便さで「右脳/左脳」を私も多用する/している。結果として、誤解や誤用をひろげる一翼を担うことになると思うものの、ご容赦願いたいと乞うものである。


 「右脳」の働きを営利目的にしていると思われる教育事業に荷担するつもりはないが、右脳/左脳と(私もしているように)区分して説明する/したくなる優位性があることも事実のようだ。そのあたりは紛らわしいが、誤解を生じさせないように私も務めたい。

2022.10.7記す

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