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▼ 毛内拡『脳を司る「脳」』p249
// 知能とは、
── 答えがあることに(素早く、正確に)答える能力 //
// 知性とは、
── 答えがないことに答えを出そうとする営み //

テキスト:毛内拡『脳を司る「脳」』p204~241
第6章 頭が良いとはどういうことか?
──「知性」の進化の鍵を握るアストロサイト──

アストロサイト(グリア細胞)

p216
//この数珠突起アストロサイトは、ヒトと一部のチンパンジーでしか見つかっていません。さらに、新生児の脳には存在しないということから、年齢依存的で適応的な変化、つまり学習や記憶に関与している可能性が予想されます。今後さらなる研究が必要です。//
※最近発見され日本語訳がなく、著者の直訳では「バリコース・プロジェクションアストロサイト」となり、著者が命名したのが「数珠突起アストロサイト」。

毛内拡『脳を司る「脳」』p216

p217
//ここで紹介したアストロサイト〔※〕のはたらきはまだ不明ですが、遠く離れた細胞同士を接続し、情報を統合するような役割をしているとすると、ヒト特有の高度な脳機能の統合や、あるいは脈絡もなく生まれる「ひらめき」などは、これらの細胞が支援しているのかもしれません。//
※//非常に長い突起(最大で1mm)//をもつアストロサイト
p215
//このタイプのアストロサイトは、サルやヒトなどの霊長類でしか発見されていません。また、ヒトではサルに比べてはるかに高い密度で存在することが知られています。//

毛内拡『脳を司る「脳」』p214

p214
//アインシュタインの脳では、一般の人よりもグリア細胞の数が多い部分が存在し、しかもその部分というのが「ひらめき」に関する部位であるということを報告したという逸話があります。
 このアインシュタインの脳の研究報告は、たった1人のサンプルであるため、科学的な根拠として採用することは難しいですが、もし本当にニューロンではなく、グリア細胞に天才的なひらめきを生む秘密が隠されていたらおもしろいと思いませんか。//

毛内拡『脳を司る「脳」』p235

p234
//さらにヒトでは、1つのアストロサイトが数百万ものシナプスとコンタクトしていることや、前述のようにヒトでしか見られないアストロサイトが1mmにもおよぶ長い突起を持っていることを考えると、さらに多くの範囲を巻き込んで活性化する可能性もあります。まったく関係のないことを結びつけて考えたり、アイディアをひらめいたりするのは、ひょっとするとこのアストロサイトが仲立ちするニューロンの活動のタイミングの調節にあるのかもしれません。本章の冒頭で述べたように、「頭が良い」ということやアインシュタインのような天才的なひらめきに、アストロサイトが重要な役割を果たしているのではないかと、期待が生まれます。//
※「1mmにもおよぶ長い突起」について……//ヒトの大脳皮質の厚みは、薄いところで1.5mm、厚いところでは4mmなので、1mmの長さの突起は、かなり広い範囲にわたって影響をおよぼしていると考えられます。//p217
※自信過剰になって「勘違い」に気をつけないと……と思ったりする。

p237
//これは完全なる妄想ですが、ひょっとするとリラックスしているときに突然アイディアが降ってくる、などという無意識による学習は、ニューロンの活動を伴わないアストロサイトの活動なのかもしれません。//
※入浴中や散歩中に思いつくことしばしば。メモがしにくいときだ。風呂ではないときは、メモができるようにしている。

OECD教育研究革新センター/編著
脳からみた学習 ──新しい学習科学の誕生
+ 小泉秀明/監修 明石書店 2010年
+ p197
//「知性(intelligence)」の科学的定義は存在しないので、「知性」という言葉を使うときは要注意である//

2022.11.21記す

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