||||| 毛内拡『脳を司る「脳」』読書メモ |||

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  • 毛内拡(もうない・ひろむ)『脳を司る「脳」』
    • ブルーバックス 講談社 2020年

p5
//これまでは、ニューロンのはたらきやニューロンが作る回路こそが「脳」だと思われていました。でもじつは私たちの頭の中には、これまで知らなかった別の「脳」が存在していて、ニューロンが作る「脳」のはたらきを司っている、と言ったら驚くでしょうか?//

p5
//ですが、好き嫌いやおもしろい・悲しいといった「感情」や、人間が持つ「知性」の中には、ニューロンのはたらきだけでは説明しきれない現象がたくさんあります。こうした人間らしさの象徴ともいえる「こころのはたらき」には、ニューロン以外の「脳」が大きく関わっていることが、最近わかってきているのです。//

p6
//これまであまり注目されていなかった「ニューロン以外の要素」にスポットを当て、その驚きの活躍を紹介し、「こころのはたらき」の謎を解き明かしていきます。//

プロローグ 「生きている」とはどういうことか

  • 小見出し
    • 脳が生き返った!?
      • //死後4時間で取り出したブタの脳に特殊な装置を用いて代用血液を送り込むことで、一部の脳機能を回復させることに成功//
    • 電気信号は「生きている証拠」なのか
      • 脳波/アルファ波/ガンマ波
    • 試験管の中で作られた「脳」
      • オルガノイド/ミニブレイン/幹細胞/自己組織化
    • 人工知能は「脳」になれるのか
      • 人工知能(AI)/シンギュラリティ(技術的特異点)/ラスター表示/ニューラルネットワーク/深層学習(ディーププラーニング)
    • こころのはたらきを織りなす脳
      • ニューロン

情報伝達の基本、ニューロンのはたらき

p35 血液脳関門
//アルコールやカフェイン、ニコチン、覚醒剤といった危険な薬物など、脂に溶けやすい性質を持つ小さな物質は血液脳関門をすり抜けてしまいます。脳に届けたくないものほど脳に届いてしまう性質があるというのも厄介です。//

p36 脳脊髄液 ≑ リンパ液、脳には //存在しないと考えられている//

  • 脳脊髄液の流れ
    • 脳脊髄液……p37//血液から血球などの成分が取り除かれた血漿から、適切な成分と濃度に調整//されたもの
    • 脳室(脈絡叢)-側脳室(左右1つずつ)-第三脳室-中脳水道-第四脳室-脊髄-脳を含む中枢神経系
    • p38//脈絡叢の毛細血管には、血液-脳脊髄液関門と呼ばれるバリアが発達していて、血液から不要物を濾過し、脳脊髄液を産生することができる//

p30~69 第1章/全
神経細胞のつながり:脳の可塑性

p72~98 第2章/全
脳研究21世紀:方法と歴史

p100~134 第3章/全
神経細胞のつながり:脳の可塑性

p136~164 第4章/全
新しい脳・古い脳:脳は鉄壁

p166~201 第5章/全
神経細胞のつながり:脳の可塑性

p204~241 第6章/全
知性 / 知能、何が違う?

p244
//ニューロンと、そのはたらきを司るニューロン以外の要素は、シナプスを介さずに相互作用をしています。これを「非シナプス的相互作用」と呼ぶことにしましょう。//
p245
//私たちが持つ「こころのはたらき」や「人間らしさ」を考えるにあたって、非シナプス的相互作用──つまりニューロン以外の「脳」の活動が必要不可欠なのかもしれないと、私は本気で思っています。//

p250
//脳の中のデジタル伝達とアナログ伝達の非シナプス的相互作用こそが、人間らしさの根源である「知性」の正体であると予想しています。とくに、意識や知覚、気分や注意などの高次な脳機能において、アナログ的な調節が本質的な役割を果たすと考えています。//

p252
//つまり、〈すべてのものは他との関係性の上に成り立つのであり、他の存在無くして自己は存在し得ない〉//
※〈色即是空、空即是色〉の意。「他者先んじて自己生ず」と同じ。

2022.10.19記す

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