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若いときに覚えた経験則。その意味が、わかった!
暇そうにしている人に頼んでも片付かないが、忙しい人に頼むと、困ったなあ~の表情はされるものの機嫌よく引き受けてくれ〈こと〉を進めてくれる。
何をするにしても、脳はワーキングメモリを作動させる。容量に限りがあり、ワーキングメモリには さほどの自由はない。たとえば、数を数えているときに声をかけられると間違えそうになる。
子どもと一緒に風呂に入り「じゅう数えたら上がってもよいよ」と声かけし、唱えている最中に、若い数字でカウントを邪魔するとその数字に誘われる。「じゅう」にたどりつくとワーキングメモリは開放され、次の動作に移れる。
ワーキングメモリは、生まれてまもない新生児も機能していると脳科学者はいう。ワーキングメモリが開放されている脳の状態をデフォルトつまり初期化ということで〈デフォルトモード・ネットワーク(DMN)〉という呼称が与えられている。
デフォルトモード・ネットワーク状態のとき、脳は何も考えていないのではなく、自身とまわりの関係にアンテナをはる、ということになっている。2億5000万年前のむかし、進化して哺乳類になった頃、デフォルト状態の脳は身の安全をはかることに専念した。人間は集団を作って身を守った。こうしたことから、”人間関係”ひいては人間を含めた環境に配慮することが最優先となった。
ワーキングメモリが開放されると、好みや意思にとらわれることなく、ヒトの脳は、いわば無意識によって次の関係性を求める。考える自由度が大きいと言ってもよいかもしれない。忙しい人はワーキングメモリを巧みにつかいこなしているというワケ。
「ひらめき」はこの機序で起きるらしい。ある脳神経科学者は「座禅」が有効としていたことにヒントを得て、私は「深呼吸」で良いだろうと思った。深呼吸することがワーキングメモリ開放の手助けになる。
手助けのもう一つは「メモをとる」ことだ。仕事でも家事でも趣味でも区別なく「メモをする」。メモをすることでワーキングメモリの負担を減らす。
お茶をのんだり、深呼吸したり、立ち上がってウロウロしたり……。これならできそうというアイデアで、ワーキングメモリを開放する。私はスマホに「メモと深呼吸」と書き記したラベルを貼り付けた。見るたびに深呼吸をしている。
2023.3.15記す