|||||「空間」と「コミュニティ」|||

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子どもの、時間と空間の概念:秋山さと子
カシオペイアが導く『モモ』


 「ユングの深層心理」とは何か? 素朴に、それ(「…」)がわからない、というわたしの問い。その解決のひとつが「時間と空間」に対する認識や理解だと考えている。

 国語辞典ではどのように定義されているか。まず、それを調べてみよう。
 新明解国語辞典第三版の見出し //空間//の語釈について、第一義は==>//そこを満たしている固体や液体が何も無い・場所(広がり)//とある。第二義は==>//上下・左右・前後の三次元にわたる無限の広がり。//とある。
 三省堂国語辞典第八版の見出し //空間//では、第一義==>//上下・左右・前後のすべての方向にわたる広がり。//とある。詳細な用例があり、//「──図形〔=立体的な図形〕・宇宙──」//。第二義==>//〔人の(いる/集まる)〕ところ。//とあり、これの用例は//「居住──・生活──・言論──」//
 反対語(対義語)は両者の国語辞典で //時間//とある。

 つい、うかつに「空間」と言えば「すきま」があるように思い浮かべるが、国語辞典の語釈は丁寧でなるほどと思わせる。深層心理を問うとき、そこにある「空間」を考えるには、少なくとも国語辞典並みには考える必要があるのだろう。

ギル・ヴァレンタイン『子どもの遊び・自立と公共空間』明石書店 2009年
p22
//空間は、[そこに存在する人間の]社会的アイデンティティや社会的カテゴリーの分布を示し、何らかの固定された特徴を持つ、外的・物理的表面として概念化された。//
p23 //マッセイは空間を次のように説明している。//
//複雑さと多重さとの産物、結びつけられたものとそうでないものの産物であり、想像を超えた宇宙的大きさのものから、ごく身近で小さなものにまで及ぶ、関係の産物である。そして、空間が関係の産物であり、その関係とは活動的実践であり、物質的なものであり、埋め込まれたものである。さらに実践とは行なわれるものであるからこそ、空間は絶えず生成する過程にある。空間は常に作られているのである。//
p23
//本書では、空間はこのような考え方に従って、「公共」空間、「私的」空間、「コミュニティ」という概念を用い、理解する。//

空間は、複雑・多重であり、絶えず生成し、
子どもは、それら関係性(空間)のなかで育つ。

コミュニティについて

ギル・ヴァレンタイン『子どもの遊び・自立と公共空間』明石書店 2009年
p23
//コミュニティという語は、使う人が違えば、意味も違う//
p24
//アンダーソンはその著書『想像の共同体』において、コミュニティは想像によるものだと論じている。//
p24
//しかし、コミュニティは想像によるところもあるかもしれないが、その想像は、特定の社会的・経済的・政治的状況に基づいているので、人々の想像力だけに基づいてコミュニティを定義することもできない。そうであるから、「特定の歴史的・地理的状況から生じたある種の考えによって結ばれた、連帯を持った人々の集まり」という定義がコミュニティの最もよい定義であろう。コミュニティとは、ある空間を拠点とした場所、近隣住区でもありうるのだろうが、それと等しく、様々な空間、尺度を横断して働くものでもありうる。//

子どもは、コミュニティに見守られて育つ。

2023.11.28記す

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