3歳の自立 ── 擬育8

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 満3歳では、自力でどれくらい歩くのでしょう。300メートルほど歩くと抱っこをせがむこともあれば、延々と1キロほどを歩くこともあります。興味次第ということでしょうか。2キロの道のりを歩いている”3歳児”とつきあったことはありますが、満年齢は4歳だったかもしれません。上述とは別の、同じ3歳児が500メートルを歩いたとき、楽しかった思いを込めて「〈遠い〉ところへ行った」と誇らしく話しました。
 〈遠い〉という言葉を発しても〈近い〉という表現を私は聞いたことがありません。保育士(おとな)がつかう言葉をその意味するところでわかっているのでしょう。しかし、対語としての〈近い〉はまだのようです。声かけの大切さを悟ります。
 保育園など集団で歩くとき、先生が手をひくには限りがあります。手をひいてほしいけれど、明らかに遠慮している子がいます。一つのてのひらに2つの可愛い手が寄ってくることもあります。お互い、歩きにくいですよね。おしゃべりしながら歩きますが、抱っこをせがむ子は、まずいない。しかし、親子だとそれはあっという間です。50メートルも歩けば「抱っこ!」。ベビーカーが目に入ればなおさらですが、ベビーカーに手荷物が乗っていれば子どもは歩く。あるいは、ベビーカーを押すお手伝いをする。気分屋さんで、じつは歩くのも楽しい。
 3歳、ひとりや友達といるときは平気で歩いてすごすのに、親がそばにいるとなんでもしてもらいたい。靴もはかせてもらいたい。服も着せてもらいたい。でも、自分で靴もはけるし服も着られる。お手伝いも好き。自立をお手伝いするのが、おとなの役割かなと思います。

2019.5.23記す