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泣く → ほほえむ → 笑う | 遊ぶ言語の表出

乳児の、「泣く」を考える……言葉の機能をもつ”泣き”
は自分のために流す、人のために流すことはない。
の跡とレジリエンス〈立ち直る力〉
感情をよむ、相手の気持ちをよむ
感動を共有する、とは?──共有と共感、そして寄り添うこと
絵本『どうして なくの?』
模倣(まね)そして共感という能力
泣く、泣かない、泣けない

デズモンド・モリス『裸のサル』角川文庫 p135
//言語的な信号とはちがって、これらの声は訓練なしに生じ、あらゆる文化において同一の意味をあらわす。ぎゃあという声、泣き声、笑い声、うなり声、リズミカルな泣き声は、どこででも、誰にでも同じメッセージを伝達する。他の動物が発する音と同様、これらは基本的な情緒的気分と関連しており、われわれにそれを発した個体がどのような動機づけの状態にあるかについて直接的な印象を与える。同じようにしてわれわれは、われわれの本能的表現──ほほえみ、しかめっ面、渋面、にらみつける眼つき、恐怖の顔、怒った顔など──を保持してきた。これらもまた、あらゆる社会に共通であり、文化による多くの身振りの獲得にもかかわらず、今なお存続している。//(下に続く)
※「感情」という言葉を使用せず「情緒的気分」と表現している。
※「ほほえみ、……」……ノンバーバルに相当する

p135(上から続く)
//これらの基本的な種の音と、種の表情が、われわれの初期の発育の中でどのようにして生じてくるか、考察してみると興味深い。リズミカルに泣く反応は(だれでもいやというほど知っているように)、出生のときから存在するほほえみはすこしおくれて、約5週間で現われる。笑いとかんしゃくは3か月または4か月までは現われない。これらの行動パターンについては、もっとよくしらべてみる価値があろう。//
うぶごえ

p135
//泣き声はわれわれが発するもっとも早い気分信号であるばかりでなく、もっとも基本的なものでもある。ほほえみと笑いは人間に独特で、むしろ特殊化した信号であるが、泣き声は他のきわめて多くの種と共通なものである。事実上すべての哺乳類(鳥についてはふれぬことにする)は、驚いたり、苦痛を感じたりすると、高い調子の金切り声や、きいきいという声を漏らす。視覚的な信号の手段として、顔の表情を進化させている高等哺乳類では、これらの声に特徴的な”恐怖の表情”が伴う。こうした反応は、幼い個体、生長した個体のいずれが発した場合でも、何か険悪な事態がおこったことを意味している。子どもは親に警告を発し、成熟した個体はその社会的集団の他のメンバーに警告を発するのである。//

p136
//われわれの赤んぼうはいろいろな原因で泣き声を発する。痛いとき、飢えたとき、一人ぼっちで置きざりにされたとき、奇妙で見慣れない刺激に直面したとき、突然に体の支持を失ったとき、望みのものを得られなかったとき、赤んぼうは泣き声をあげる。これらの原因は結局二つの重要な要因に煮つめることができる。肉体的な苦痛と不安とである。いずれの場合も、信号が発せられると、それは親の保護反応を導き出す(あるいは導き出すはずのものである)。信号が発せられたときに子どもが親から離れていたならば、信号は直ちに両者の間の距離をちぢめる効果を発し、子どもは結局は抱きかかえられ、ゆすったり、かるくたたいたり、さすったりされることになる。子どもがすでに親と接触している場合は、あるいは接触がなされたのちも子が泣きやまない場合には、子どもの体は調べられ、苦痛の原因と思われるものがさがし出される。親のこの反応は信号がやむまで続けられる(そしてこの点で、泣き声刺激はほほえみや笑いのパターンとは基本的に異なっている)。//

p136
//泣くという行動は筋肉の緊張から成り、それに首から赤くなること、眼から涙を流すこと、口を開けること、唇のひきつり、強い呼気を伴う大げさな呼吸、そして当然ながら高い調子のいらいらさせるような泣き声を伴う。すこし生長した赤んぼうでは、さらに親のところへとんでいって、しがみつく動作が加えられる。//


2021.3.15Rewrite
2021.3.6記す

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